さよなら国立劇場。千秋楽フォトメモリー。文楽の本公演、最後の1日。 | さきじゅびより【文楽の太夫(声優)が文楽や歌舞伎、上方の事を解説します】by 豊竹咲寿太夫

 さよなら国立劇場






9/24、日曜日。


現国立劇場での文楽の本公演が最後の千秋楽を迎えました。




建て替え予定にともなう、国立劇場の閉場。

来月、10月に現国立劇場での全公演が終了します。


文楽のホームは大阪です。



これは、人形浄瑠璃の現在のステータスである義太夫節を作り上げた竹本義太夫と近松門左衛門が大阪の道頓堀で全てを始めたことに由来します。


以来、現在の文楽座に繋がるまで、大阪を本拠地として文楽は続いています。



大阪では文楽劇場という専門の劇場が存在し、さらに東京での公演があります。


この東京での公演は現在にいたるまでずっと半蔵門の国立劇場で上演してまいりました。






芸能事務所も持たず、細々と個人個人の集団で活動をしている文楽が、ユネスコに認定されるほどまでの専門的活動および商業的活動を続けることができているのは、この大阪・東京での長期公演におけるお客さま皆さまのご愛好が全てです。


その東京でのホームが今回、閉場となります。






最後の公演となった今回の9月公演。


通常の東京公演よりも1週間長い上演期間で、おおよそ1ヶ月の滞在となっております。




コロナ禍から定着した3部制は良い面悪い面さまざまな評価がありますが、この9月公演ではこの3年間類を見なかった毎日の大入り。


2部制だったコロナ前の満員御礼続出の毎日を思い出す日々でした。




2部制で来ていただいていたお客さまの総数が3部制になることによって分散されてしまうのは当たり前のことで、結果このようなメモリアルなことがあるまで3部制で満員の日々を過ごすことができなかったことは今後の課題ですが、現在の国立劇場での最後の1ヶ月を満杯のお客さまと共に過ごせたこと、非常に嬉しく感謝いたしております。




千秋楽が近づくにつれて、普段楽屋で写真を撮っていないような演者たちもスマホを手に写真を撮っていて、皆等しく思い出におさめておこうという気持ちが溢れているように感じました。






千秋楽となった今日、第3部ではカーテンコールが催されました。







文楽本公演でのカーテンコールというだけでもあまり巻き起こらないことですが、さらに拍手が鳴り止まず、複数回のカーテンコールになったことには驚きを隠せませんでした。







ご挨拶に立たれた呂太夫兄さんの軽快でお客さまを惹きつけるコメントに皆顔が綻び、客席からも舞台の上からも思い出の写真をおさめるという温かい時間がそこにはありました。



永遠に続けばいいのに、と心がざわめきました。











これにて、今後の本公演は首都圏の様々な劇場を訪れることになります(公演はあります!!)。




しかしその前に!


明日は!!!




ファン感謝祭、文楽祭!!!!






メモリアルなことがある時に企画されるこのファン感謝祭。

結果的に10年に1度ほどの頻度となっています。



これが本当の大千穐楽。



現国立劇場で文楽を観ることがのは明日が最後です。





本公演では絶対に観ることができない、端役までトップの演者でそろう「車曳き」。



そして10年に1度のスペシャル企画、太夫・三味線・人形遣いの三業が自分の役割を完全封印して他のものに挑む「天地会」。





配役は明日直接ご覧になってのお楽しみ!という、「君たちはどう生きるか」戦法!!!









皆さま、最後の1日をいっしょに楽しみ尽くしましょう!!!


 





 

 

 

 



とよたけ・さきじゅだゆう:人形浄瑠璃文楽
 太夫
国立文楽劇場・国立劇場での隔月2週間から3週間の文楽
公演に主に出演。


その他、公演・イラスト(書籍掲載)・筆文字(書籍タイトルなど)・雑誌ゲスト・エッセイ連載など
オリジナルLINEスタンプ販売中

 

 

 


豊竹咲寿太夫
オフィシャルサイト

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