誕生日なので、真面目に今後の展望を記しました。文楽と咲寿太夫について。 | さきじゅびより【文楽の太夫(声優)が文楽や歌舞伎、上方の事を解説します】by 豊竹咲寿太夫




誕生日。


今日はちょうど休演日で、舞台に出ない誕生日というのは久しぶりです。




この4年は台風のような人の持つものでは抗えない急転直下の勢いで、演劇の在り方が掻き混ぜられた期間でした。


もはや時間の旅をしたのではないかというほどに、重い質量で、かつ光の速度で今日に至った4年でした。




またひとつ歳を取ったのだと思うと、あたふたとしているうちに過ぎ去った嵐の4年と、今公演後の現国立劇場が使えなくなる向こう約10年ほどに、身の毛がよだちます。


演劇という芸能は、お客さまに直接お越しいただいてご覧いただくため、テレビのような受動的にエンターテイメントに触れられるというわけではなく、能動的な行動をお客さまにお求めすることが必要不可欠になります。


また、私たち人形浄瑠璃文楽座の演者たちは芸能事務所などに属しているわけではなく、各々が個人で活動しているため、よく世間で言及される文楽以外の活動で文楽への訴求を促すべきだという視点からの芸能活動に弱い部分があります。


他の分野の方々が論じていられるように、受動的に観ていただくエンターテイメントのお仕事と、能動的にお金を支払っていただいて観ていただく事とでは、それぞれのお客さまの目的ならびに演者側が考えるべきエンターテイメントの目的が異なってきます。




去年の同時期あたりから、SNSまわりやブログなども含めて、舞台外の活動を少し抑えています。


よりいっそう舞台に集中する目的があります。



反面、KUDENさんとのモデル活動の出会いがあり、多くの方に文楽を知っていただける機会がひとつ増えたことに大きな感謝を感じています。




今後、定位置の劇場を持たなくなる東京まわりでの公演について、再び半蔵門へ戻ってくるころに「文楽のお客さまが離れてしまっていた」などということのないよう、正念場がやってまいります。


そのためにも舞台に集中して技術の向上につとめ、新しく文楽を知っていただくための行動もきちんと考えながら、新しい1年を過ごしてまいりたいと考えています。



私ひとりではできないことばかりで、加えて文楽の演劇活動以外のノウハウや巡り合わせも持たない一個人です。

太夫は歌い手と勘違いされることもよくありますが、演劇の演者ですので、そのような目線の派生での文楽を知っていただくための活動も非常に大事なことかと思います。


何においても、皆さまのお力添えが不可欠でございます。




コロナ禍において、何もできないことの辛さを痛感し、現在に至ります。


文楽の演者にお仕事などを相談する上で、コンタクトの仕方も分かりづらいという声もよくあります。


私に関しましては、ホームページからコンタクトをとっていただけます。




文楽が演劇として生活の中でのエンターテイメントのひとつになるよう、様々な可能性を模索しています。

噺家ですと名乗って世間ですぐに認知していただけるのと同じように、「太夫」です、と名乗ってどういった演劇の仕事か認知していただけるくらいに日本で文楽を浸透させたいと願っております。


今後とも人形浄瑠璃文楽を皆さまに好いていただけるよう努力してまいります。


新しい1年、皆さまよろしくお願いいたします。



 





 

 

 

 



とよたけ・さきじゅだゆう:人形浄瑠璃文楽
 太夫
国立文楽劇場・国立劇場での隔月2週間から3週間の文楽
公演に主に出演。


その他、公演・イラスト(書籍掲載)・筆文字(書籍タイトルなど)・雑誌ゲスト・エッセイ連載など
オリジナルLINEスタンプ販売中

 

 

 


豊竹咲寿太夫
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