初日
7月から8月にまたがっての大阪公演、日本橋(にっぽんばし)の文楽劇場できのう初日を迎えました。
この夏休みの公演、第一部では毎年恒例の「親子劇場」で小さなお子様との親子連れでお楽しみいただきやすい演目を上演しています。
今年は落語作家の小佐田定雄さん作の「かみなり太鼓」
人形遣いの簑太郎さんと勘次郎さんの文楽の解説をはさんで、「西遊記」の二本立て。
「かみなり太鼓」は今回で実に3回目の上演です。
西遊記はたくさんエピソードがある中で、今年は悟空が釜茹でになるエピソードを上演しています。
第一部、子ども料金は1900円で、しかも18歳以下が子ども料金!
18歳以下が1900円!大事なことなので2回言いました。
親子料金だとさらにお安くて、おとな4000円、子供1500円!!
はじめての文楽、ぜひお越しいただければ嬉しいです。
夏休み公演恒例といえば、もう一つ。
夏休み公演が初舞台の演者のデビューとなるのです。
ぼくも初舞台は夏休み公演でした。
今年デビューになったのは織太夫兄さんのお弟子さん竹本織栄太夫(おりえだゆう)くん
藤蔵兄さんのお弟子さん鶴澤藤之亮(とうのすけ)くん
演目は妹背山婦女庭訓の道行です。
▲初舞台直後のふたり
無事に初舞台。
これからが舞台生活の始まりとなります。
こうしてきっちりと新しい演者も増えてきていて、頼もしいかぎりです。
近頃ではどうやら研修ばかりが文楽に入る方法だと思われているようですが、血筋の関係ない文楽は直接の弟子入りが可能な芸能ですので、文楽という芸能に憧れてもらえるように活動を続けていきたいと思います。
今月の自分の出番は妹背山婦女庭訓のクライマックス「入鹿誅伐の段」での橘姫。
そして夜の部の夏祭浪花鑑の「釣船三婦内の段」の二役です。
4月から上演してきた妹背山婦女庭訓もとうとうクライマックスです。
まるで何年もロードオブザリングを観続けてきたような満腹感があって(たぶん菅原伝授手習鑑を並行して通し上演中だから余計にそう感じているのだと思います)、とくに妹背山婦女庭訓はファンタジー要素が強いので「物語が終わる」感覚が大きいのだと思います。
蘇我入鹿の絶対的悪役感はロードオブザリングのサウロン
や、ハリーポッターのヴォルデモート
のようで、入鹿を倒すために淡海がスパイ活動をしたり、登場人物たちが秘宝を集めたり、お三輪が犠牲になったりしての「入鹿誅伐の段」です。
首だけになっても生きているのは入鹿かモロだけだと思います。
夜の部の夏祭浪花鑑はまさしく大阪の夏を体現するかのような演目です。
全身刺青の侠客の団七九郎兵衛が舅を手にかけてしまうお芝居で、任侠と義理人情が強く描かれる「漢」という感じの演目です。
大阪に住んでいる方には馴染みの深い土地がたくさん出てくるので、ヤクザ者たちが繰り広げるドラマに親近感が湧くと思います。
この公演は8/13まで!
7−8月公演は毎年少しお安くなっていますので、この機会にぜひお越しください!!
とよたけ・さきじゅだゆう:人形浄瑠璃文楽
太夫
国立文楽劇場・国立劇場での隔月2週間から3週間の文楽
公演に主に出演。
その他、公演・イラスト(書籍掲載)・筆文字(書籍タイトルなど)・雑誌ゲスト・エッセイ連載など
オリジナルLINEスタンプ販売中
豊竹咲寿太夫
オフィシャルサイト
club.cotobuki
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