愛知県扶桑会館の公演を振り返り。文楽も歌舞伎も落語もクラシックも、ひふみんも訪れる劇場! | さきじゅびより【文楽の太夫(声優)が文楽や歌舞伎、上方の事を解説します】by 豊竹咲寿太夫

 ふそう文化大学




大学というのは今回の公演の名称で、本当の大学ではありません。


7/9の日曜日、扶桑文化会館で公演をしてきました。



扶桑は愛知県の名古屋駅から北へ電車で30分ほどのところ。

文楽座としては10年ほど前に地方公演で訪れています。


確か10年前は中部国際空港から電車一本で扶桑まで向かった記憶があります。


扶桑のそばには有名な犬山城があります。

今回は時間がなくて行けなかったので、また訪れた際には行きたいお城です。


織栄くんがお城や戦国時代のことに非常に詳しいので、犬山城のあれこれを教えてもらってから行きたいですね。




\咲寿太夫のまめめも/

犬山城の天守は現存する日本最古のものです。

国宝に指定されていて、織田信長の叔父の信康が築城しました。


御朱印ならぬ御城印がいただけます。




犬山城観光案内所でもらえるそうですよ!



築城された姿が残っていて、それを現在も訪れることができるというのは凄いことですよね。

人形浄瑠璃が残ることと、こういったお城や神社仏閣が現存していて、現代の人も訪れることに親近感を感じます。





今回、出演させていただいた「ふそう文化大学」は、毎年開催されている会館の友の会会員の方むけの催しで(一般の方ももちろん大丈夫)、6月から9月まで毎月ゲストが変わって各々の芸能や分野のお話や解説と実演を行います。


このゲストの分野が多岐にわたっていて、今年のメンバーをご覧いただいても組み合わせが非常に面白いことが分かります。

過去のゲストには、将棋界からひふみんの愛称で親しまれている加藤一二三さんがトークショーで来られていました。


とても魅力的な催しですよね!


近所の会館でこんな催しが毎月あるやなんて羨ましすぎる。

しかも安い〜。

これは文化会館として、非常に理想的な公演だと個人的に思いました。

こういう催しを、大阪も東京ももっとするべきだと感じました。



こんな素敵でかつゲストも素晴らしい方々が毎回来られる催しに、今回呼んでいただいたことに驚きと恐縮の想いを持って劇場入りしました。



一緒に来ていただいたのは鶴澤清公さん。

なにかことあるごとに清公さんにはお世話になりっぱなし。

以前、西本願寺さんでレクチャー公演をした時も清公さんにご一緒してもらったことを思い出しました。


今回はその時の拡張版!といった感覚です。





https://ameblo.jp/sakiju/entry-12366263252.html







かなり前に「スヌーピーを墨絵CGでライブペインティングのように描きだして物語を紡いでいく」という現代アートを見たことがあって、非常に興味深く感銘を受けたことがありました。


また、これは月並みなのですが、AppleのWWDCでのプレゼンのスタイルも好きで、よくぼくの解説やレクチャーはプレゼンと評されることがあります。

非常に正確な評です。笑


今回、お話は文楽という芸能の仕組み、太夫三味線の仕組み、お芝居の演目のスタイルや成り立ちを中心にプレゼン(笑)しました。


お話とお話に挟むように実演をしました。

これらの内容は去年のうちに決まっていて、ここに9月公演でつとめる喧嘩の段を選択したのは非常に偶然のことでした。


演目は清公さんとご相談のなかで決まって、対照的な演目を並べようという趣旨でした。


喧嘩の段で梅王丸と松王丸の喧嘩という男×男を実演し、阿波の鳴門では母娘女性メインを実演して、その性格の違いを感じていただきたいなという企画です。





字幕表示という仕立てで、頭上にスクリーンを設置していただき、字幕とともに浮世絵が徐々に描き出されるという演出をしました。




もちろん、自筆のオリジナル浮世絵です。

かつて見た現代アートに触発されていつかしてみたいと思っていた演出がようやく実現しました。


いずれはこの浮世絵を動かしたいですね。

(そうなると個人オリジナルでは限界があるなぁ。笑)







扶桑文化会館は非常に趣のある劇場で、正面からすでに楽しい創り。



ロビー、視線を高くすると、芝居絵が飾られていて雰囲気ばつぐん。


また訪れたい劇場です。




この日は降水確率90%でしたが、みるみる晴れて傘の出番もほとんどありませんでした。





この日は両親が来てくれて、公演の後は10年前に呂勢太夫兄さんや織太夫兄さんに連れて行っていただいた、名古屋駅から1キロほど離れたところにある「宮鍵」というお店に両親を招待。






10年前に舌鼓を打った味噌鍋をいただきました。

こういうのって記憶が美化されるじゃないですか、もう想い出の味そのままで、床の若手大勢で頬を赤く染めてお腹を膨らませたあの日の上気した空気をもう一度堪能しました。




また訪れたい、愛知県。


文化の土地だなあ、と感じました。



 





 

 

 

 



とよたけ・さきじゅだゆう:人形浄瑠璃文楽
 太夫
国立文楽劇場・国立劇場での隔月2週間から3週間の文楽
公演に主に出演。


その他、公演・イラスト(書籍掲載)・筆文字(書籍タイトルなど)・雑誌ゲスト・エッセイ連載など
オリジナルLINEスタンプ販売中

 

 

 


豊竹咲寿太夫
オフィシャルサイト

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