10分でわかる
奥州安達原
その昔、安倍頼時は源氏に戦いを挑み、敗北しました。
戦で命を奪われた安倍頼時。
彼の二人の息子
「安倍貞任」
「安倍宗任」
はその仇を返そうと復讐を企てています。
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さて、天皇家の環の宮が何者かに誘拐され、環の宮の護衛の平傔仗直方は妻と共に環の宮のいない御殿を守っていました。
宮を誘拐され、未だに宮の行方を突き止められない直方は責任を問われ、期限までに環の宮を見つけ出すことができなければ切腹せよと命じられています。
環の宮を誘拐したのは安倍貞任と安倍宗任の二人だろうと推測はついているものの、肝心の環の宮の居場所はわかりません。
期限当日、下の娘の
敷妙が直方の元にやってきました。
敷妙はすでに結婚をしていて、彼女の夫は源氏の将軍源八幡太郎義家です。この日、彼女は直方の娘としてではなく、義家の使者としてやってきたのだと言いました。今日の期限を過ぎれば、責任を取って命を捧げるよう改めて知らせに来たのです。
そこへ、八幡太郎義家本人もやって来ました。
直方は環の宮の誘拐を企てたのは安倍貞任・宗任兄弟だと考えていると義家に言いました。実は環の宮を誘拐する計画を記した手紙が見つかっていたのです。
義家も、宮を誘拐したのは貞任・宗任兄弟であると考えていました。
さらに彼は、奥州において鶴を殺した罪で捕らえた南兵衛という男が、本当は宗任ではないかと疑い、尋問するためにここへ連れて来たと言うのです。
二人が話していると、今度は天皇の側近の桂中納言則氏がやって来ました。
彼は雪のように白い梅を持参し、直方が暗い気持ちになっているだろうからとその梅を差し出しました。
そうして、則氏も南兵衛の尋問に同席します。
義家の家来が縄で縛られた南兵衛を連れて来ました。
ただの罪人とは思えない風格を兼ね備えています。
義家は「貴様は安倍宗任だな。そんな縄くらい簡単に破ることができるだろうに、わざわざ捕まってここまで来たのは、何か思惑があるのだろう」と詰め寄りました。
しかし、宗任は人違いであると言い張ります。
そこで義家は、源氏の白旗と、宗任の親である安倍頼時の形見の「折れた矢先」を見せ、彼を挑発しました。
さらに則氏が進み出て「奥州の果てに生まれ、草木の名前も知らない猿同然の男め。悔しければこの花の名前を答えてみよ」と白梅を見せて嘲りました。
これに苛立った南兵衛、実は宗任。
彼は先ほどの矢の根を口にくわえると、自身の肩をえぐり、矢先に血を塗りたくりました。そうしてその矢先の血で源氏の白旗にさらさらと文字を書き始めました。
「我が国の梅の花とは見たれども、大宮人はいかが言ふらん」
即席の和歌で返事をしたのです。そんなことができる器量を持っていることこそ、一般の男ではない証拠です。義家はやはりこの男こそが宗任であると、さらなる尋問のために彼を奥の部屋へ連れて行きました。
二人残った則氏と直方。
則氏は直方に近づくと、期限である今日中に環の宮を見つけることができなければ切腹するようにと言い、奥の部屋へと入っていきました。
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