最近、「交渉とは何か」ということを考えさせられる出来事がありました。
詳細を書いてしまうと、個人が特定できる可能性があるので、このテーマでは過去にも書いた記憶がありますが、経緯は書きません。
農家さんも参考になるかもしれません。
私は交渉とは難しいことではないと思っています。
それは「お互いに思っていることを誠意を持って話するだけ」だと考えているからです。
難しいと思う部分は、「その人がどんな人間なのかを見抜くこと、判断すること」や「話の本質を見抜くこと」ではないかと思っています。
よく考えてみると、これは私達は常にこのような思考をしながら、日常会話を行っていると思いませんか?
私は別に心理学を学んだわけではないですが、人は知らない人間がいれば、必ず警戒するでしょう。
その警戒はどのようにして解かれるかと言えば、会話でのみ可能だと思います。
会話をすることにより、信頼感や安心感が生まれるのではないかと思います。
この中で、自分のプラスにならないような人に対しては、あまり心を開かないでしょうし、逆だと急速にその距離は縮まります。
さて、タイトルにも書いている本題ですが、農家さんだけではないでしょうが、簡単に「もう付き合わない」と言ってみたり、相手がやってしまった取り戻せるミスを取り立ててどうにか補償をさせようとする方がいます。
このような場合は、一見、相手に強く発言することが出来ているように見えるために、交渉上手に見えますが、私は違うと思います。
なぜに、そんなにも簡単に強く言わなくてはいけないのか・・・・・・・・
もちろん様々な要因があるでしょうが、その裏には、一つは、その人にきちんと交渉するだけの力がないからということがあるのではないかと思っています。
うちがみかんを栽培し始める前の話です。
ある方(Aさん)と、あるスーパーのバイヤーに売り込みに行ったときの話しです。
もちろん試食用のみかんを持っていっていきました。
Aさんは、バイヤーが試食する前に、
「うまくなかったら、断ってもらって結構です」と発言されました。
以前からAさんは、こんな風に交渉するんだよと言われていましたから、「本当に言うんだな」と隣で聞いていました。
Aさんの意図は、最初にがつんと強い言葉を言うことにより、「こんな奴初めてだな」と思わせ、自分の立場を相手よりも上に持っていこうということです。
さて、これを見て、「ほ~なかなか自信たっぷりだな」と思われましたか?
バイヤーの答えは、
「では、この話は止めましょうか?」
です。
バイヤーの意図は、「最初から断ることが前提にあるような話なら、止めましょう」ということです。
一見、Aさんの発言は強気の交渉のように聞こえますが、バイヤーが言っていることのほうが正しいです。
確かにバイヤーは自分の舌にあったみかんを探しているのでしょう。
しかし、大きなスーパーであるならあるほど、様々な所得層の顧客がおり、様々な嗜好の顧客がいるのですから、いきなり断る話が出ること自体がおかしな交渉です。
私なら、「是非とも扱ってもらいたいから、試食してください」しか言いません。
思っていることを言っているだけです。
まだ交渉の域にも達していない段階なんです。
そこに変に格好つけたりする必要はありません。
試食が終わると、必ず印象を言われますから、そこから話が始まります。
その時に、どんな風に作っているのか、どんな思いなのか、そんな所を話す(売り込む)だけです。
ここで想像できる交渉とは、
「では、いくらくらいを考えていますか?」
と言われるでしょうから、
「いくらなら、買いますか?」
と、こちらから聞くことくらいでしょうか。
これを私の普段の営業に当てはめれば、サンプルを持ち歩き、その場で作物に散布してみて、効果がなければ買わなくて良いと言っているようなものです。
そんなことは絶対にしませんし、そんなセールスマンは一人もいないでしょう。
仮にこんなセールスマンがいたとするならば、明らかに樹勢が悪い農家を足を使って選べば、効果が出るかもしれませんね。
その代わり、そんな農家を対象にしか売れないことを最初から決め付けているということです。
すみません。逆にわかりにくくなったかもしれませんね。
さて、これ以上書くと、もっとわかりにくくなるでしょうね
今回はこれで終わります。