AQUAISM/GrimAqua
1. Blau~SE~
2. 黄昏オフィリア
3. 空は群青に泣く
4. 69Mother
5. Room No.
6. Painful Memories
7. Abyssally
現体制では初のアルバム作品となるGrimAquaの1stミニアルバム。
2月に配信開始となった後、ライブ会場と通販限定でCDでのリリースも敢行。
てっきりオフィシャル通販での取り扱いだと思って待っていたら、Amazon等でも購入することができたという。
無料配布されていた「空は群青に泣く」を含む全7曲。
CDには、配信版には収録されていない「Blau~SE~」が追加されています。
ここにきて、彼らの王道っぷりが武器として磨かれてきましたね。
どこかを先鋭化したり、邦ロックやボカロ界隈に歩み寄ったり、当初は個性化をするためのアプローチだったものが飽和してきた感のある昨今。
手薄になったど真ん中の道を突き進むのが、この「AQUAISM」と言えるでしょう。
リードトラック「黄昏オフィリア」から、マイナーコードで疾走するメロディアスチューン。
ビートロックをベースに、幻想的なフレーズとザクザク刻むリフとが交錯するツインギターが絡み、メロディラインはキャッチーでありながらも繊細で耽美。
途中でワルツ調になるギミックも含めて、王道的な白系バンドを彷彿とさせる音楽性に辿り着いています。
一方で、90年代の模倣のようなメタ的手法に頼りすぎておらず、あくまで自然体であることもポイント。
Vo.LUM.さんの艶やかなミドルヴォイスを活かすべく、シャウトやデスヴォイスでの演出は極力排除。
その中でバリエーションを広げるべく「空は群青に泣く」ではミクスチャー要素も取り込んでいるし、「69Mother」では軽めのノリ、「Room No.」ではジャジーなテイストを強めていて、白系に固執しているわけでもないのですよ。
そのうえで、王道の魅力をバシバシ感じる作風に仕上がっているのがたまらないのだよな、と。
ファンタジックな雰囲気を帯びたミディアムナンバー「Painful Memories」を経て、再びど真ん中を駆け抜ける「Abyssally」でクロージング。
締めるべきところを締めています。
強いて言うならバランサー的な楽曲が多くなっているため、インパクトでも勝負したかったか。
先行的に発表されていたデジタルシングル「月影ラヴドール」、「ガラス玉」などを加えてパンチ力も備えていたら、完璧なフルアルバムになっていた可能性もあるだけに、惜しいなと思ってしまいました。
ここはひとつ、次回作への伸びしろということで。
音楽ジャンルではないはずの"ヴィジュアル系"という軸が通っていて、音楽性がブレないGrimAqua。
まずはここから聴いてみてほしい、入門書となる1枚です。
<過去のGrimAquaに関するレビュー>