百物語/ソラナキ
1. 指切り
2. 釘打ち少女
3. 天邪鬼
4. 片想い
5. 盲鬼
2023年9月にデジタルリリースされた、ソラナキのミニアルバム。
10月に正式始動となった彼ら。
先行的に、8月~9月にかけて、シングル3枚、ミニアルバム1枚を固め打ち。
始動前にして、フルアルバムをドロップしたレベルの楽曲が揃っていました。
コンセプトは、"和風+メンヘラ"。
近年のヴィジュアルシーンにおいて定番となってきた感のあるスタイルではあるものの、それでも圧倒的な個性となっているのはVo.亡さんの中性的な歌声でした。
言ってしまえば、メロディもフレーズも楽曲のテーマ性においても、目新しさは薄いのでしょう。
ただし、ボカロ曲を人力で再現してしまったかのような歌声が個性として確立されていることによって、その普遍性がキャッチーや王道という魅力になっている。
際立った武器さえあれば、ど真ん中で勝負してこそ、という理にかなったスタイルなのですよね。
「釘打ち少女」だったり、「片想い」だったり、その中でひとつハズシを入れるセンスも良し。
パターンが決まってしまいがちな和風サウンドにおいて、マンネリに陥らないようにする工夫が見られます。
音楽ジャンルをまたいで何とかしようとするのではなく、80%で王道を貫きつつ、残りの20%に不協和音を織り込むことで、ズレた演出にしているのが上手いなと。
シングルがいずれもベタだっただけにアイディア不足が心配でしたが、アルバムにて本領発揮。
とにかく曲が出来たら即出ししているというわけではなく、常に上向きになるように仕組まれた戦略だったのかもしれません。
好みだったのは、「盲鬼」のスピード感とわちゃわちゃ感。
ギミックにも凝りながら、比較的ストレートに展開。
最後はやっぱり何も考えずに突き進むのがたまらない。
力技に見えて、細かいところに気が効いた1枚です。
<過去のソラナキに関するレビュー>