SID Tribute Album -Anime Songs- / V.A. | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

SID Tribute Album -Anime Songs-/V.A.

 

1. モノクロのキス / 小野大輔 from 『黒執事』

2. 嘘 / 朴璐美 from 『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』

3. 乱舞のメロディ / 森田成一 from 『BLEACH』

4. ANNIVERSARY / 戸松遥 from 『マギ』

5. 螺旋のユメ / 村瀬歩 from 『将国のアルタイル』

6. delete / 雨宮天 from 『七つの大罪 神々の逆鱗』

7. 慈雨のくちづけ / 福山潤 from 『天官賜福』

 

結成20周年を受けてリリースされた、シドのトリビュートアルバム。

 

シドが担当したアニメタイアップ楽曲を、そのアニメに出演した声優が歌うという新感覚のトリビュート作品。

声優がアーティスト活動を行うことも珍しくなくなってきた昨今、どちらの面でもキャリアのある面々をよくぞ揃えてきた、といったところで、誰もが聞いたことがあるだろう声で、シドの名曲たちが再構築されています。

 

男女比は半々となっていますが、どちらにもマッチするのがシドの楽曲。

男性的な色気を押し出した「モノクロのキス」や「乱舞のメロディ」はもちろん、女性だからこそのハイトーンが活きる「ANNIVERSARY」、「delete」も格好良く仕上がっています。

中性的な声で歌われる「螺旋のユメ」や、新たな解釈で展開される「慈雨のくちづけ」もハマっていて、歌か演技かの違いはあっても、声で表現するプロフェッショナルとして第一線にいる人たち同士、通じるものがあるのかな、と。

 

また、声にだけスポットが当たりすぎて、カラオケになってしまうことも懸念としてはありましたが、朴璐美さんが歌う「嘘」を聴いた時点で、そうなってはいないことが理解できたでしょう。

アコースティック風のしっとりしたアレンジに仕上げていて、声の力で楽曲の魅力を伝えることに特化。

勢いを付けたい2曲目でこれを持ってくるか、という意外性を与えつつ、なるほど、序盤で外野を黙らせるには効果的だな、と納得してしまいました。

 

アニメソングをヴィジュアル系アーティストが歌うオムニバスは過去ありましたが、単独アーティストで、その逆が成立しそうなバンドはそうそう見当たらない。

「妄想日記」企画の実績もあるだけに、ヴィジュアル系シーンのアーティストが多く含まれたトリビュートも聴きたい、という気持ちはあるものの、シドにしかできないことをやっているという点で興味深い作品でしたね。

参加アーティストの幅をあえて狭めて固め打ちしたのも、新規層の獲得を狙うには良い目線では。