メゾフォルテッシモ/岡崎
1. DAWN(inst)
2. 痣
3. Instinct
4. ４トラックレコーダー
5. eisoptrophobia
6. 雨傘
7. 情けなくて泣けてくる
8. ごぼう
9. Retreat
10. NIGHTFALL(inst)
「NO VISUAL, NO LIFE」シリーズにおいて、今や欠かせない存在となっている岡崎さんのフルアルバム。
およそ20年の音楽活動において書き溜めていたソロや過去のバンドでの楽曲をすべて新緑してアルバムにまとめた作品。
1stアルバムとなりますが、節目における総括という点で、本人にとってのメモリアルベストという位置づけもありそうです。
数量限定で付属するセルフライナーノーツに加え、早期購入特典として「４トラックレコーダー」を実際にカセットの４トラックレコーダーで録音した楽曲データもダウンロード可能。
曲名にちなんだ特典も気が効いていて、スタジオで練習した生演奏をカセットで聞くようなドンシャリ感が良い味を出していました。
まず、武器である歌声の良さですよね。
これまでのソロ音源は単発だったこともあり、もっと聴きたい、聴き足りない、という欲求が膨らんでいた中、初の単独アルバムにおける充実感は相当なもの。
ヴィジュアル系をルーツに持つことがはっきりわかる楽曲もあれば、しっとりしたバラード、歌謡曲調のレトロナンバーなど、色々な表情が垣間見えるのもポイントで、うっすら認識してはいたものの、改めてその振れ幅の広さに驚かされます。
また、アレンジや演奏においての再構築の精度が際立っています。
ともすれば、音楽の観点から20年超の自分史を振り返っている性質上、アルバムとしてのまとまりには欠けてしまうのもやむを得なかったはず。
それなのに、選曲の上手さ、曲順の妙も相まって、しっかり痒い所に手が届く進行になっているのですよ。
たとえば、バンドサウンドで攻撃的に展開する「痣」と、アコースティック調のサウンドワークとなっている「情けなくて泣けてくる」を続けて聴いてみると、方向感が違いすぎて、どうも違和感がある。
一方で、本編では「情けなくて泣けてくる」の次にがっつりバンドサウンドの「ごぼう」が来ているのに、こちらはすっと聴けてしまうからわけがわからない。
アルバムとしての繋がりがスムースになるように仕組まれたアレンジセンスが、もはや魔法でした。
結果として、「NO VISUAL, NO LIFE」シリーズに収録されていたような白系ど真ん中の楽曲は少な目になっているのだけれど、聴けば聴くほど深みにハマる作品。
ヴィジュアル系リスナー的なキラーチューンとなるのは「痣」や「eisoptrophobia」なのでしょうが、聴いているうちに「雨傘」から「情けなくて泣けてくる」のコンボにグッとくるようになっている。
「Retreat」のように、１曲だけで去り際の雰囲気を演出できる楽曲があるのも強いですね。
初聴きでのインパクトがあるナンバーはオムニバス作品や単発音源に、じっくり聴き込ませたい楽曲はアルバムにという采配も含めて、職人の業を感じさせる１枚です。
＜過去の岡崎に関するレビュー＞