HEURISTICS/馬骨擬装網
1. TWIN LAY
2. HEURISTIC PRIESTESS
3. GNOME
4. FALL MINE
5. LAND MOVER
中村椋、リキッド、回造による逆行工学的音楽集団、馬骨擬装網の2ndEP。
平沢進的な手法を拝借して、90年代のテクノポップをインターネット混迷期に再構築。
本作では、ヒラサワを通り越して、P-MODEL的なアプローチも多く取り込んでおり、同人ユニットという位置づけだからこそ可能とも言える、企みの多い作品です。
フルアルバム「CAISSON」では、椋さんがメインコンポーザーとなっていた印象ですが、本作においては、リキッドさんが作曲におけるイニシアティブを握っていたのかな。
1曲目の「TWIN LAY」のみ椋さんが原曲を担当しており、それ以外はリキッドさんの楽曲。
ユニットとしてやるべき音楽が明確なので、だからといって音楽性が変わるものでもないのですが、なんだかんだで癖がわかるようになっていくから不思議なものですよね。
特徴は、何といっても全方位から電子音が降り注ぐような立体的なサウンド。
音数がとりわけ多いということでもないのですが、だからこそ、その隙間に広がる無限の空間や、雄大な時間の流れを感じてしまうのです。
エキゾチックなイントロにより、異国情緒を漂わせたのは「TWIN LAY」。
キャッチーと呼ぶには多国籍すぎるのだけれど、日本語で歌われてもそこまで違和感がないラインなのが面白いなと。
タイトル曲とも言えそうな「HEURISTIC PRIESTESS」は、ピコピコ感とワンフレーズが繰り返されるナンセンスな世界観が中毒的に脳にこびりつくテクノポップ。
真顔で歌うことで、コミカルさが生じるタイプの楽曲とも言え、トップからの流れを途切れさせないノリの良さも魅力的です。
続く「GNOME」は、一転して、言葉数少な目で近未来的なポップ感。
宇宙遊泳をしているような気分を味わえる浮遊感があるのもポイントでしょう。
メンバー3人であっけらかんと歌う「FALL MINE」、壮大さをもたらすエンドロール的な「LAND MOVER」。
終盤には、なんとも局地的など真ん中っぷりだ、と言わんばかりの遊び心が展開され、真面目にやればやるほど面白さが引き立ってきます。
時代に左右されない、大いなる二番煎じ。
有識者たちの本気の悪ふざけといったところだが、なかなかどうして、格好良いから困ってしまう。
予備知識なしで聴いてもハマってしまうけれど、ヒラサワ学を勉強してからだと、更に味わいが深まりそうな1枚。。
<過去の馬骨擬装網に関するレビュー>