SELF COVERS 【CLASSICS】 / 石月努 | 安眠妨害水族館

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SELF COVERS 【CLASSICS】/石月努

 

1. BLUE ROSE

2. hal【ハル】

3. LIFE

4. Memories in White

5. Rainy merry-go-round

6. ゆらぎ

7. ダウンコード

8. tender is…

9. ONE-You are the one-

10. 黄金の月

11. 真珠

12. [キミガイルセカイ]

13. everlove

 

 

FANATIC◇CRISIS時代の楽曲をクラシックアレンジで収録した石月努のセルフカヴァーアルバム。

 

現在、FANATIC◇CRISIS時代の楽曲を演奏する場として、 FANTASTIC◇CIRCUSを立ち上げている石月さん。

そのFANTASTIC◇CIRCUSが、バンドアレンジでのセルフカヴァーアルバムをリリースする前日でもある3月28日、ソロ名義でもセルフカヴァーをリリースしてしまうなんて、前代未聞だったのではないでしょうか。

もちろん、バンドとソロの違いというのは意識されていて、こちらはピアノ、バイオリン、チェロという編成でのアレンジに特化。

インディーズ時代の楽曲や、シングルではない楽曲も選曲に組み込んでいて、重複しているのは「LIFE」、「Rainy merry-go-round」、「ONE-You are the one-」の3曲のみというのも、戦略的にコントロールしたものだとすると頭が下がります。

 

キーワードを3つ設定するとしたら、深く、やわらかく、あたたかい。

音数だけを切り取ればシンプルということになるのですが、奥行きのある歌声は、飾り気がない分、すっと心の内側にまで染み渡っていきます。

また、そのサウンドのやわらかさは、思考の柔軟性も促してくれるようで、オリジナルの印象と違ったとしても受け入れやすいのですよね。

そして、ヴィジュアル系シーンの中でも、FANATIC◇CRISISは前を向ける楽曲を数多く作り続けてきたのだな、と再認識できるようなぬくもりを感じる楽曲たち。

切なさを重視したテーマもあるけれど、寄り添うように演奏されることで孤独が軽減されるような、ほっと一息つける安心感がありました。

 

インディーズ時代の人気曲でありながら、なかなか再録の機会に恵まれなかった「Memories in White」、クラシックの枠を飛び越えてお洒落に仕上げた、アレンジの面白味を感じさせる「Rainy merry-go-round」の2曲をサブスクで先行配信したのも、わかっているなと。

注目度も高く、呼び水になっていますし、これを聴いたら本編も聴いてみたくなること請け合いです。

 

ネックとなりそうなのは、CDのみでも5,500円という価格設定。

従来から彼の作品は、入手方法やコストの面で、ちょっと興味があるぐらいでは手を出しにくいところがあり、もう一声お願いしたいというのも本音ではありますが、ある種、内容が想像しやすいセルフカヴァー集という試みは、最後の一歩を踏み込ませるきっかけになりそう。

なんだかんだで、FANTASTIC◇CIRCUSと併せて聴きたいよね、という欲求には逆らえないのでした。

 

<過去の石月努に関するレビュー>

PRAYBOY

プテラノサウルス

DROP
I.S./銀ノ雨。