処女作/シュガーフォークフル
1. 徒歩、一分未満。
2. 恨み帖
3. がらんどう
4. 夕陽ケ丘心中
5. 号外
シュガーフォークフルが2004年にリリースした1stミニアルバム。
事実上、Daliの前身バンドにあたる彼ら。
本作は、Gt.シュンサクさんの加入前となる4人編成時代の作品となります。
ブックレットの記載についてもこだわっていた印象で、クレジットも含めてレイアウトは縦書きが主体。
その際、アルファベットを使用しないことが徹底されていて、例えばトータルプロデュースが"キサキ(アンダーコードプロダクション)"と表記されているのは、なんだか新鮮でした。
Vo.れんさんが手掛ける作詞についても、うらみつらみ、散文、演説......と言い換えに趣向を凝らしていたのも、この時代らしい工夫と言えるでしょうか。
限定3,000枚でのリリースとなった本作は、環境音を加工したSE「徒歩、一分未満。」を含む、全5曲。
音楽性としては、お洒落系の様式をなぞった哀愁レトロ路線。
それがUNDER CODE PRODUCTION所属バンドとしての様式美と融合し、ダークで激しい、哀愁系のコテオサバンドというニッチな立ち位置になっていました。
不気味なシンセの音色を加えて、レトロ歌謡を暗黒面に展開する「恨み帖」、ヘヴィーなサウンドにお経のようにぼそぼそと畳みかける言葉を重ねる「がらんどう」、歌謡曲の要素を強めつつ、やはりダークな雰囲気は維持していた「夕陽ケ丘心中」。
そして、Daliでも再録していた暴れ曲「号外」は、HISKAREAのVo.研二さんと、カレンのDr.旬奈さんがコーラスシャウトで参加。
Daliではメンバーとして加わる旬奈さんが、実はこの時点で既に共演していたと考えると面白いですね。
後期Daliで見られるようになるアート性は、まだ顕在化しておらず。
哀愁系としてはメロディが弱く、コテコテ系としては表面的な激しさを求めていないといったところで、どこに強みを求めるかの試行錯誤をしていた段階でしょうか。
もちろん、その中に原石的なセンスを見出すことは十分に可能。
美味しいところ取りを狙いつつ、ニッチに展開していく意欲や、デザインへのこだわりなど、野心はビシビシ感じる1枚。
捻くれた衝動性が体感できます。