GRiM / Neverland | 安眠妨害水族館

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GRiM/Neverland

 

1. GRiM(SE)

2. Land Escape

3. Heart sleep

4. Daydream

5. Missing memory

6. HumaNOISE

7. Dummy

8. Evergreen.

9. twilight

10. 7th heaven

11. 桜時計

 

 

2016年にリリースされた、Neverlandの1stフルアルバム。

 

"終わらない夢の国"をコンセプトに、2012年に結成。

惜しまれながら、2021年に解散となった彼らですが、Vo.涼太さんはTHE MADNA、Ba.てらさんはヘルブロス、Dr.琥珀さんはDATと、当時のメンバーは今でも第一線で活躍中。

Gt.一輝さんの動向が気になるところです。

 

内容としては、イチゼロ年代のメルヘンロック。

ファンタジー性の文脈で、クラシカルな様式美を解釈することで、オリジナリティを創出していました。

特に個性が際立っていたのは、「Land Escape」や「Dummy」といった攻撃性の高い楽曲たちでしょうか。

表面的にはキャッチーなのだけれど、その裏で毒々しさを孕んでいるように、ポップネスとダークネスが表裏一体。

オルタナの匂いを滲ませつつも、枯れたサウンドではなく、キラキラしたシンセとの相乗効果を求めたアプローチはなかなかに新鮮です。

 

アルバム構成としては、前半に勢いのある楽曲を、後半にメルヘン色の強い楽曲を持って来た印象。

故に、強い個性を感じるのは前半なのですが、ファンタジー要素に振り切ってセツナポップ風に仕上げた後半の楽曲群も、なかなかどうして魅力的なのですよ。

メロディセンスは非凡と言え、ミディアムナンバーでも見劣りせずに演奏する実力もある。

挑戦的で呼び水となりそうな前半戦によりインパクトを与え、わかりやすくファンタジーのイメージを植え付ける後半戦で、Neverlandの世界観への没入感を強めていく二段構え。

なるほど、アルバムとしての完成度がとても高いな、と。

 

なお、初回限定盤は、「Daydream」のMVとメイキングが収録されたDVDが付属。

通常盤は、ブックレットがライブフォト仕様になっていて、CDの内容は同一。

バンドの解散によって、隠れた名盤となりつつありますが、まだまだ埋もれさせるにはもったいないポテンシャルを秘めた1枚です。