Virgin Vibration / HAKUEI | 安眠妨害水族館

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Virgin Vibration/HAKUEI

 

1.世界の果て ~paranoia of youth~

2.ハムレット

3.メルヘン☆ジャック

4.DIS

5.9th Dimension

6.The Elephant Man

7.ダブルラブショック

8.Teenage Bullet

9.Eternal My Dear

10.Virgin Groove

11.ZEUS

12.NUDE

 

 

PENICILLINのVo.HAKUEIによるアニバーサリーアルバム。

 

本作は、2016年、ソロ活動20周年記念としてリリースされた作品。

アルバム未収録となっていた1997年の3rdシングル「ダブルラブショック」に加え、ライチ☆光クラブとして発表していた「メルヘン☆ジャック」、同じくmachineの「DIS」を含む10曲が収録されています。

初回限定盤Aには、自ら作詞・作曲を手掛けた「Eternal My Dear」のMV、初回限定盤BにはゴールデンボンバーのVo.鬼龍院翔さんが楽曲提供して話題になった「ハムレット」のMVを収録したDVDが付属。

初回限定盤Cには、ボーナストラックとして、ソロデビューシングル「ZEUS」、2ndシングル「NUDE」が再録された12曲入りという仕様になっており、まさにヒストリーを振り返ることができる仕上がりでしょう。

 

その他の楽曲提供陣も豪華絢爛。

スタートダッシュを決める「世界の果て ~paranoia of youth~」は、SIAM SHADEのVo.栄喜さんが手掛けたもの。

「9th Dimension」では、The LEGENDARY SIX NINEでも共演したNIGHTMAREのDr.RUKAさん、「The Elephant Man」ではex-PENICILLINのBa.GISHOさんが楽曲制作に携わり、再演を果たしています。

「Teenage Bullet」は、ex-up-beat、T4Rの広石武彦さん、「Virgin Groove」は、PIERROT、LM.CのGt.Aijiさんがコンポーズ。

作曲者の色を存分に出しながらも、HAKUEIさんが歌うことで新鮮に響くサウンドは、さすがのバランス感覚ですね。

特に「Virgin Groove」は、紛うことなきAijiさんのメロディに、アクの強いHAKUEIさんの歌唱が重なる、想像できるようでできなかったコンビネーション。

あの世代のリスナーにとっては、たまらないのですよ。

 

もちろん、さすがという意味では、HAKUEIさんも然りで。

作曲者が散らばっていて、オムニバスアルバムのような作風とも受け取れるのですが、ブレない歌声によって、そこにビシっと筋が通っています。

代名詞でもある激しくエモーショナルな歌唱を前提にした楽曲に、制作陣の意識が寄りすぎた部分もある中、それを見越してバラード「Eternal My Dear」を作り上げているという戦略眼も見事。

アルバムとして整った感がありました。

 

そして、忘れてはいけないのが「ZEUS」、「NUDE」の2曲。

四半世紀前の楽曲であるという事実を忘れてしまうアップデートが施されていて、旨味を残して深みが加わった形です。

ベスト盤のようでベスト盤でない本作の位置づけを、ボーナストラックでありながら体現していると言えるのかな。

PENICILLINをベースにしつつも、マルチな活動を展開するHAKUEIさんにとって、ソロアーティストとしての集大成となる1枚。