Candy Rouge / Sacrifice | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

Candy Rouge/Sacrifice

 

1. Candy Rouge

2. 虚空-empty sky-

3. Lillian

 

 

名古屋を拠点に活動中のSacrificeによる2ndシングル。

 

ライブ会場とオフィシャル通販でのリリース。

初回生産盤は300枚限定。

サイン入りのフォトが封入される仕様となっています。

さて、触れずにはいられないのが、帯に記載された、2013年に解体されたレーベル”UNDER CODE PRODUCTION"のロゴでしょう。

直近では、La'veil MizeriAが"Matina"のロゴを使用していましたが、名義貸しのようなものとはいえ、2022年に、KISAKIさんが立ち上げた伝説的なレーベルふたつからCDが出るなんて、その当時を知るリスナーにとってはたまらないのでは。

 

1stシングル「終幕ノ果テ」では、名古屋系を踏襲しつつ、コテコテ系への歩み寄りも見せていた彼ら。

本作においては、UNDER CODE PRODUCTIONとのコラボレーションの意識もあってか、懐古主義的なコテコテ系路線に強めにアクセルを踏み込んでおり、ドロドロした世界観よりも、歯切れの良い鋭さを持ったハードさで勝負してきた印象です。

表題曲となる「Candy Rouge」は、スピード感を重視したダークチューン。

性急なリズムに、シャウトでの掛け合い、サビやギターソロではメロディアス性も追及。

押さえるべきところは押さえたうえで、ドラマティックな展開にもチャレンジしていますね。

こってりど真ん中ではあるけれど、既視感は強すぎず、90年代をなぞるよりもサブジャンルの正当進化を狙う姿勢に、ポテンシャルの高さを感じました。

 

カップリングの「虚空-empty sky-」も、疾走感のあるハード+メロディアスなナンバー。

シャウトに語り、やはりギミックの部分はベタを踏襲しているなと感じる一方で、メロディアスになる部分でのインパクトは大きく、上手くSacrificeのセンスによって料理しています。

ラストの「Lillian」は、ひたすらメロディアス性に振り切った楽曲。

マイナーコードで駆け抜ける展開に、切ないメロディを重ねた王道感が、兎にも角にも気持ち良い。

これを嫌いなヴィジュアル系リスナーなんていないでしょ、と思うほどですよ。

 

テンポ的には、いずれもスピーディー。

だけど、似たような曲が並んでいるといった感想には至らず、ギリギリを攻めるバランス感覚が絶妙だな、と。

コロナ禍により、結成以降、地下活動が多くなってしまっているのは誤算でもあるでしょうが、着実に成長を遂げていることが理解できる1枚です。

 

<過去のSacrificeに関するレビュー>

終幕ノ果テ

Ugly Figure