BARRAGE / SEESAW | 安眠妨害水族館

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BARRAGE/SEESAW

 

1. BEAT MASTER

2. Killing me softly

3. 命のNANANA

4. Like a Magic

5. 弾丸アラート

6. Air

7. 残響と時雨

8. BRAND NEW WORLD

9. やさしい嘘

10. Cry now

11. 心電図

12. イチバンボシ

 

 

ex-ViViDのVo.SHINと、NIGHTMAREのGt.咲人によるユニット、SEESAWの1stフルアルバム。

 

2022年2月2日、"2"並びの日にリリースされた本作。

作詞・作曲等のクレジットはすべてSEESAW名義になっており、ふたりの個性をぶつけて制作した作品というメッセージを発売日にも込めている、というのは考えすぎでしょうか。

衝撃を与えたデビューシングル「弾丸アラート」、デジタルシングルとして発表されていた「Like a Magic」を含む、待望の初アルバム。

ドキュメントDVDが付属するボックス仕様の豪華盤と、CDのみの通常盤でのリリースとなっており、通常盤は「イチバンボシ」が追加収録された12曲入りとなっています。

 

ハイトーンに強みを持つという意味では同じでも、YOMIさんとはタイプが異なるヴォーカリストであるSHINさん。

作曲やアレンジにおけるイニシアティブは、咲人さんが握っていると推測しますが、彼の透明感のある澄んだ歌声と、様々な楽曲に対応できる柔軟性を活かそうとしている印象なのですよね。

その結果、NIGHTMAREでは、ひたすら王道を突き進む音楽性を貫いている一方、SEESAWでは、バラエティ性を広げて、広範囲にアピールするようなアプローチになっていて、同じコンポーザーから生まれる音楽であっても、正反対のアウトプットになっているのが面白いな、と。

ロック色の強い「BEAT MASTER」でワイルドにスタートすると、スリリングに疾走するリードトラック「Killing me softly」で勢いを増して。

他方で、ミクスチャー風の「命のNANANA」や、叙情的なロマンティシズムを刺激する「残響と時雨」など、個性の強い楽曲の周囲にはバランスをとるアクセントナンバーも抜け目なく配置。

ドラマティックな演出になるように工夫しながら、隙を作らず丁寧ににアルバムを構築しているので、非常に完成度の高い作品として受け入れやすいのです。

 

本編は、アグレッシブなデジタルロック「心電図」で締めくくりとなるのですが、通常盤のみに収録された「イチバンボシ」はファンに向けたかのようなポップさに包まれており、余韻の多幸感が増幅。

どちらもベクトルが異なる良いクロージングである、という前提は置きつつ、後者の選択肢がとれるのも、SEESAWの強みと言えるのかもしれません。

1stにして洗練されすぎている器用貧乏感はあるも、サイドプロジェクトとしてそれぞれの音楽性に新機軸を与えて、カンフル剤的に機能しそうな1枚。