C17H19NO3/Develop One's Faculties
1. 導入剤
2. マリオネット
3. 強迫性障害
4. 躁
5. アンコンシャス・マインド
6. NPC
7. DxMxT
8. C17H19NO3
ミニアルバムとしては、「I WANT MY FREEDOM」以来、5年半ぶり。
DOFこと、Develop One's Facultiesによる2ndミニアルバムです。
「INVERSE ЯEVERSE」以来、約2年ぶりとなるアルバム作品。
先行して発表されていたシングル曲は収録せず。
曲数を増やしてフルアルバムに仕立てることも出来たのでしょうけれど、あえて新曲中心のミニアルバムとして切ってきたあたり、こだわりや意図を感じずにはいられません。
タイトルとなった「C17H19NO3」は、モルヒネの化学式。
SE「導入剤」でスタートし、表題曲でクローズする構成は、彼らのサウンドに浸ることで、抱えている痛みを忘れていく工程を示しているかのよう。
ライブ前の音出しを切り取ったかのようなSEに「導入剤」なんてタイトルをつけたのも、上手いなといったところで、中毒性を持っているところまでDOFの音楽とモルヒネは親和性が高いと言えるのでしょう。
緩急をつけて、2分弱ながらドラマティックに仕上がった「マリオネット」、シリアスなイントロと、ポップなサビのギャップが癖になる「強迫性障害」。
頭の5分を耳にしただけで、すっかり彼らの世界観に没入してしまう。
J-ROCKシーンの流行もしっかり押さえて、V系バンドとしての美学も忘れない、というバランス感覚は相変わらずで、"わかりやすいマニアック"な音楽性が、深みに引きずり込む速度を速めている気がします。
そこまで来れば、あとはやりたい音楽を畳み込むだけ。
内面から滲み出る攻撃性を、それぞれ異なるアプローチで表現した「躁」、「アンコンシャス・マインド」の2曲は、それらを踏まえて彼らにしか鳴らせないサウンドに昇華。
マスロック、シューゲーザー、オルタナティブ等、集合知的な音楽性の「NPC」をリードトラックに据えたのも、プリミティブな好奇心で構築された本作を象徴しているのかと。
再びSE「DxMxT」でタメを作ってから、最後にアクの強い「C17H19NO3」を持ってくるのだが、もう素直に受け入れざるを得ない状態。
セルフオマージュなども取り込みながら、カオティックに展開される難解な楽曲が、何度も聴きたくなっているのだから面白いものですよ。
キャッチーという意味合いは薄く、万人受けはしないのだと思うが、ジャンルを飛び越えて格好良いと言わせるだけの音楽を奏でているのは間違いなし。
いつの間にか、"最近、何か良いバンド知らない?"という問いかけに対し、自信を持って"DOFだ"と答えられるぐらいのバンドに成長していたのだな、と感慨深さも押し寄せる1枚です。
<過去のDevelop One's Facultiesに関するレビュー>