「I WANT MY FREEDOM」 / Develop One's Faculties | 安眠妨害水族館

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「I WANT MY FREEDOM」/Develop One's Faculties

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1. Silent Silence
2. I WANT MY FREEDOM
3. メランコリィな生活
4. ケサランパサラン
5. are you ready...?
6. 傍観者は嗤う
7. その音はキミだけが知っている

2016年に飛躍したバンドのひとつであるDOF。
「正常とは」、「斑」と立て続けにシングルを発表してきた彼らが、1年の締めくくりとして送り込んできたのは、全7トラックで構成されたミニアルバムでした。

シングルについては、大きな衝撃を与えるチャレンジングな内容で勝負。
バランスをとる意図があるのかどうかはわかりませんが、本作は、それらで示した振り幅の広さを、ひとつのパッケージに集約したといったところでしょうか。
新しい音楽性を見せ付けるというよりは、ひとまずDOFとしての音楽性を整理した印象を受けましたね。

と言っても、革新的でないわけではなく、現状維持に留まるものでもないのが、彼らの強み。
そもそもの素材が強烈なだけに、まとめるだけでも骨が折れる。
下手したら、取っ散らかって、台無しにしてしまう可能性だってある。
そんな楽曲たちを、存在感のあるギターサウンドで、グッと一体感のあるものに引き寄せているのだから、恐れ入ります。
DOFっぽいな、と思うのだけれど、これを"DOFっぽいな"と思わせている時点で、彼らの勝ちなのではないかと。

作詞・作曲を担当するyuyaさんの独特な言語感覚は、本作でも大爆発。
それぞれ、メッセージ性がある詩も振られているのだけれど、必ずしもその通りには歌われていません。
語感を重視して、言語すらオリジナルで作り上げてしまうぐらいの潔さ。
統一感を出すなら、歌詞をコンセプチュアルに、というのも選択肢に入ってくるのでしょうが、それをまず捨てる判断の良さが、大きな個性となっているのです。

また、そんな不思議な響きで支配されている作品において、表題曲である「I WANT MY FREEDOM」の語りのパートが象徴するように、暑苦しいぐらいの主張がときどき垣間見えるから興味深い。
これをリスナーの脳裏に焼き付けるべく、あえてそれ以外の部分に意味を持たせていないのではないか、と勘繰りたくなるくらいですよ。
ラストの「その音はキミだけが知っている」は短い台詞だけのトラックなのですが、これを効果的な演出にするための前振りでもあったのか、と感心してしまいました。

リードトラックとなる「メランコリィな生活」や、王道的なアプローチで疾走する「傍観者は嗤う」などもお気に入り。
ギミックの面白さだけでなく、演奏力や曲の良さも武器になっていれば、そりゃ、注目度が増して当然でしょ。
多くを語らなくとも快進撃の理由を指し示す、納得の1枚です。

<過去のDevelop One's Facultiesに関するレビュー>

「正常とは」
reincarnation
フラスコを振ると天秤揺れた