Providence of BIONIC / the LOTUS | 安眠妨害水族館

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Providence of BIONIC/the LOTUS

 

1. VIO-NIX [into the core]

2. 少年

3. 【DERR:ZELD】

4. Grace

 

ex-少女-ロリヰタ-23区のGt.Ryutoさんを中心に結成されたthe LOTUSが、2015年にリリースした"Providence"シリーズの第一弾。

 

三位一体の象徴である"プロビデンスの目"をモチーフにした三部作。

本作では、"BIONIC=命"をテーマに据えており、コンセプト作の1作目らしく、丁寧に構築している印象です。

単体のテーマ性に合わせるだけでなく、第二弾のテーマが"JESUS=神"になることを踏まえて歌詞を作り込むなど、伏線の張り巡らせ方も見事でした。

歌詞に"JESUS"が登場する「少年」は、始動当初から演奏されている楽曲の待望の音源化。

描き下ろしではないのだとすると、いつ頃から三部作の構想はあったのだろうか、と先見的な戦略性に驚かされるのですよ。

 

サウンド面でも、"BIONIC"という言葉から連想しやすいデジタルサウンドを強調しているのも特徴ですね。

ポップなメロディを疾走感溢れるリズムで送り込む「VIO-NIX [into the core]」、ハードさを押し出しつつ、ギラギラしたシンセの主張も強い「少年」、エレクトロに振り切った「【DERR:ZELD】」、王道感の中に突き抜けたキャッチーさを見せる「Grace」と、手を変え品を変えでバラエティ性を打ち出したうえで、デジタルな質感で軸を通したといったところ。

テーマを表現するため、歌詞での世界観構築だけでなく、音楽性も縛っているのが、なかなかのこだわりと言えるでしょう。

 

試みとしては面白かったのですが、もっとも注目される第一弾。

テーマの汎用性が高すぎて、大きなインパクトを生めなかったのがもったいなかったかな。

たらればではありますが、"神"を先に持って来たほうが、尖ったテーマとなり得た気も。

ただし、大局的に見た完成度は相応にあり、この時期のキラキラ系デジタルサウンドの王道感が嫌いでなければ、十分に及第点であろう1枚です。