憂國モラトリアム / アヴァンガルド | 安眠妨害水族館

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憂國モラトリアム/アヴァンガルド

 

1. 戦闘配置

2. 帝國デモクラシー

3. 旭日イノセント

4. 夕闇リストカット

5. 盲目パラノイア

6. ナツユメ

 

 

アヴァンガルドが2016年にリリースした1stミニアルバム。

 

ex-Chain and envyのメンバーを中心に結成された彼ら。

現在ではサイノ筐ニワ~31-8520~にて活動中のBa.さえまるさんが在籍していました。

本作は、結成間もないタイミング発表された初音源。

結果的に翌年の2017年、わずか1年半の活動で止まってしまう短命なバンドでしたが、その中でも特に初期衝動に詰まっている作品と言えるでしょう。

 

右翼的なモチーフやハードなサウンドを、"愛すべきメンヘラたちへ捧ぐ。"という帯のコピーが示すとおりのスタイルに落とし込む。

そんな"メンヘラ系"へのアプローチは、彼らが九州を拠点にしていたことも相まって、ポストR指定と期待がかけられていました。

ただし、この段階では、音楽性はそこまで定まっていないのかな。

確かにタイトルは軍事主義を連想させるワーディングも多いのですが、サウンドでの統一感が図られているわけではなく、素直にやりたい楽曲を詰め込んだといったところ。

まとめきれず、散漫な印象は否めず、レトロなサウンドを期待しすぎると、やや肩透かしになってしまうかもしれません。

 

一方で、彼らの強みがキャッチーなメロディであることは、既に健在化されていますね。

「盲目パラノイア」でセツナポップ的な要素が入ってきたと思いきや、ラストの「ナツユメ」では、更に爽やかさを強めてポップス志向を強めており、ある種、この終盤のパートこそ、アヴァンガルドが個性化していくための鍵だったのかと。

後発の作品はより洗練され、狙いが明確になっていきますが、素材を活かして料理したようなストレートさは、初期衝動が詰まった本作ならではの味わい。

こちらの路線でコンセプトを組み立てていたらどうなっていたのだろう、と想像してしまう1枚です。

 

<過去のアヴァンガルドに関するレビュー>

拝啓、時世に夏句詠みけり