藍/春を前にして/パノラマトーン
1. 藍
2. 春を前にして
仙台を拠点に活動するノスタルジックギターロックバンド、パノラマトーンの1stシングル。
本作は、2019年にリリース。
現在では脱退済ですが、当時はベーシストが在籍しており、４人編成となっていました。
音楽性は、バンド内で紅一点のVo&Gt.いづみさんが力強い歌声で引っ張る、叙情的なギターロック。
"景色に広がる世界や感情を様々な音色で"をテーマとして掲げているだけあって、バラエティには富んでいる印象ですが、中でも、メロディアスな歌謡ロックを得意としているようですね。
MVが作成された「藍」は、その"哀愁"を極限にまで突き詰めたレトロチューン。
昭和歌謡をベースにしたレトロな世界観を、ジャジーな演奏でお洒落にコーティングしており、Dr.ユウヘイさんが刻むシャッフルビートが、なんともジャジーなリズムを生み出しています。
ギターのリフも絶妙で、感覚的に"歌謡曲"を意識させるけど、明確なモデルを連想させるわけでもないという、狙い通りのライン。
heidi.あたりと親和性が高い一方で、フィールドが異なることにより同じようなコード感でも、イメージの異なるメロディが乗ってくるのが新鮮とも言えるでしょう。
もう１曲の「春を前にして」は、メロディに特化したロッカバラード。
シンプルな音使いで、しっとりとした歌モノといった前半から、メッセージ性の強い歌詞を力強く届けようとする後半へ。
このドラマ性が聴きどころとなっていて、静と動とのメリハリをはっきり切り替えるリズム体の演奏と、盛り上げどころを明確にするためにエモーショナルなフレーズを響かせていくギターのパフォーマンスが、胸の疼きを助長していました。
とっつきやすいJ-POP的な楽曲に見えて、その実、豊かな感情表現によって聴けば聴くほど味わいが増すのですよ。
残念ながら、2021年9月のライブをもって解散を発表。
となると、オフィシャル通販などが利用できる期間も、あと僅かかもしれません。
流通には乗っていないようなので、現物主義の方は、お早めに。