影/LIQUID
1. 影
仙台を拠点に活動中のLIQUIDによる6thデジタルシングル。
この楽曲は、歌が入るまでに40秒かかる。
とりわけ長いわけではないものの、相応にスピード感があるため、体感的には長く感じるのだ。
現代音楽のセオリーとして、イントロは短く、コンパクトに。
それに慣れていると、尚更、"長いイントロ"が、むしろ個性的に映ってくるから面白いのではないかと。
そして、このイントロは、歌と同じぐらいにパワーを持っているのです。
情熱的なギターと、冷たいシンセの音色が、沸々と込み上げる感情を表現しているようで、歌が入った段階で、既にワンコーラスを聴き切った充実感。
入口でインパクトを与える、という点については、イントロを短くしてフックとなるメロディを持ってくる現代的な構成と、なんら効果は変わらない。
むしろ、アプローチが異なる分、より際立って耳に入ってくると言えるでしょう。
ほんのりとダークな世界観。
淡々としていながらも、瞬時に迫力を増すVo.hibariさんのヴォーカリゼーションは、LIQUIDとしては激しさを見せる「影」という楽曲にマッチしていて、そのスリリングさに汗を握ることになります。
全体的には4分弱の引き締まった構成で、飽きが来る前に潔くクロージング。
引き際も絶妙でしたね。
相反した要素が交錯、翳りあるアレンジが効いたロックチューン。
<過去のLIQUIDに関するレビュー>