Dears / Vice†risk | 安眠妨害水族館

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Dears/Vice†risk

 

1. Dears

2. ESCAPE

 

2000年、「鳥篭~torikago~」と2本同時にリリースされたVice†riskのデモテープ。

 

1st~3rdは、4曲を3本のデモテープにパッケージ。

4th、5thは、同じく4曲を今度は2本に振り分けて同時リリース。

多作というわけではなかったものの、複数同時での音源発表にこだわりを持っていた彼ら。

コストパフォーマンスは決して良くはありませんでしたが、それでも限定1,000本を売り上げてしまうぐらい、作品へのニーズがあったということなのですよ。

音楽の単価が下がってしまった現代においては、アーティストからすれば羨ましい時代となるのでしょうか。

 

本作には、ポップな「Dears」と、ハードな「ESCAPE」を収録。

A面となる「Dears」は、華やかなギターサウンドと、耽美なメロディが特徴です。

コテコテ系バンドがチャレンジするポップロックといった趣で、どことなく、LAREINEの「再会の花」を彷彿とさせるというか、コード感やメロディに似たところが見られるような。

もっとも、Vo.弥生さんの甘い声質にもマッチしていて、バンドにハマっていたのは間違いありませんが。

 

カップリングの「ESCAPE」は、一転してひたすら激しく。

空間系のギターエフェクトを使いながらダークで禍々しい雰囲気を作り出すと、ツタツタと疾走していきます。

シャウトが中心の煽り曲で、歌詞らしい歌詞もほとんど存在せず。

極端に言えば、「残-ZAN-」の煽り部分のみを抽出したような楽曲で、実際、ラストのフレーズはオマージュでしょうか。

 

王道的な「鳥篭~torikago~」、ミディアムバラード「Nostalgia」も含めて、デモテープ2本に収録された楽曲タイプは、ちょうど1st~3rdの4曲の方向感と一致しており、正攻法でのブラッシュアップを狙っていたと思われます。

惜しむらくは、デビュー作のインパクトに対して突き抜けることができず、地味な印象になってしまったこと。

コテコテ系ど真ん中、期待値は高かったのですが、結果として、短命で終わってしまったのは残念ですね。