NEAR DEATH EXPERIENCE SEXUAL VIOLENCE/Fetish
1. PARAPHILIA
2. 絶頂
3. 悪趣味な箱(raw-reflection)
4. IMPLANT CARNIVAL
5. SEXUAL
山梨を拠点に活動していたFetishの1stミニアルバム。
2008年に結成された彼らですが、残した音源は少なく、アルバム作品は2014年にリリースされた本作のみ。
ダークでアングラな世界観を武器としており、ドロドロとした退廃的なサウンドは、Merry Go Roundからの影響を強く受けているのでしょう。
1曲目の「PARAPHILIA」から、6分半を越える長尺ナンバー。
ズルズルと地を這うように進行する中、鍵盤の音色が不協和音的に絡みつき、激しさを増していく中盤の展開がたまりません。
音楽性として抑揚は少ないものの、ギミックが多いのか、癖になるメロディを選んでいるのか、あまりダレることがないのもポイントですかね。
ハードなサウンドと、不規則なリズムが特徴の「絶頂」、シングルからの収録となる妖艶な「悪趣味な箱」と、先人たちの手法をなぞりつつも、Fetishの軸となるべきサウンドを提示。
本格的なゴスに振り切るのではないものの、興ざめにならない絶妙な匙加減で、聴きやすい構成も狙っている印象です。
なんというか、ヴィジュアル系リスナー向けのカスタマイズは上手いなと。
決してキャッチーではないのだけれど、ゴスとV系の最大公約数を探すようなアプローチなのですよ。
「IMPLANT CARNIVAL」、「SEXUAL」と、クロージングの2曲はワンフレーズを畳み掛けるインパクト重視の楽曲。
歯切れよく終わる一方で、最後の30秒はただノイズが鳴り響く。
パフォーマンスが終わったメンバーが袖に捌け、スタッフがアンプを切るまでギターがずっとノイズを放っている、あの感じ。
ライブ感をあまり感じない音楽性において、こんな臨場感の出し方があったのか、と目から鱗でした。
まだまだMerry Go Roundの影がちらつき、オリジナリティには課題があったものの、潜在的なニーズはあっただろうに。
5曲で1,500円という価格設定もありがたく、非常にコストパフォーマンスに優れた1枚。