陽炎 / ヴィルシーナ | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

陽炎/ヴィルシーナ

 

1. 陽炎

 

 

4ヵ月連続での主催ライブが発表されているヴィルシーナによるデジタルシングル。

 

ex-gossip、ex-ヴァリルのVo.緋絽、ex-ベルベットのGt.KAIE、ex-gossip、ex-D'efend ChromaのDr.Marという編成。

2018年の始動時は5人組だったものの、メンバーの脱退により、2020年から現在のスリーピース体制になっています。

過去の音源のサブスクリプション配信を開始した勢いをそのままに配信されたのは、スピード感のあるラウドチューン「陽炎」。

ヘヴィーなサウンドを引き連れて疾走していく、アグレッシブな楽曲に仕上がっています。

 

シングルらしく、メロディが活きたナンバー。

ワンコーラス目で丁寧に歌メロを綴って、楽曲の輪郭を形作って。

ツーコーラス目はAメロをごっそりデスヴォイスパートに取り換え、攻撃性を高めていく。

Bメロはサビに繋ぐための印象的なメロディを持ってくることに特化しており、それがこの楽曲の肝と言えるでしょう。

攻撃性とメロディアス性の二面性を表現するために、Bメロにシャウトパートを持ってくるのが常態化。

いい加減、シーン全体でマンネリ感が出てきて久しい中、同様の効果をもたらしつつ、Bメロをまるまるサビに繋げるフックのあるメロディに使うことが出来るため、インパクトを強めることに成功していました。

 

コテコテ系の様式を踏襲しつつ、硬派なラウドバンドにも通じるアプローチ。

キャリアを積んで蓄積した経験値は伊達ではなく、何かひとつきっかけが作れたら面白い存在になってきそう。

爆発の足掛かりにするには遅きに失した感は否めないものの、サブスク解禁&デジタルリリースの展開は、ソールドアウトしている作品が多い彼らにとっては、間口を広げる効果はあるはず。

過去のアルバム作品への入り口として機能してほしい、力の入った1曲です。