茜さす部屋で/細胞/慎一郎&杏太
1. 茜さす部屋で
2. 細胞
制作中のアルバムから先行して届けられた、慎一郎&杏太のデモシングル。
会場限定での販売となる本作は、CDRに、ポストカードサイズの歌詞カードとランダムチェキがセット。
音源には、Gt.杏太さんが作詞・作曲を手掛けた2曲が収録されています。
これにより、アルバムから先行発表された楽曲は4曲。
ライブで演奏されている未音源化の楽曲も溜まってきているので、確かにアルバムを作るだけの曲数はあるのだろうな、と思うのですが、先行してドロップされるのがいずれも書き下ろし的な新曲ばかりというのが彼ららしいですね。
「茜さす部屋で」は、郷愁を誘うカラっと乾いたリフが特徴のナンバー。
アコースティック編成でのライブが多い彼らですが、正統派のバンドサウンドを前提としたアレンジに仕上げており、疾走感のあるリズムとノスタルジックな和メロの組み合わせは、ここ最近の杏太さんの王道的なアプローチです。
インパクトを高めているのは、Bメロの掛け合いでしょう。
Vo.慎一郎さんは雰囲気作りのコーラスに徹しており、杏太さんががなり立てるようなパンク調のノリで、宮澤賢治の「雨ニモマケズ」をベースにした詩を叫ぶ。
Aメロやサビの滑らかなメロディラインと、荒々しく武骨なBメロとの鮮やかなギャップが、とても強く印象に残る工夫となっていました。
「細胞」は、じっとりとした湿度を纏ったダークチューン。
序盤の浮遊感のあるアレンジとは裏腹、深く、深く精神性に潜り込むような重苦しさが共存しています。
「茜さす部屋で」ではさらりと歌い上げていた慎一郎さんも、こちらでは激情を剥き出しにして、鬼気迫る表現を。
ラストシーンでリズムが走り出し、コーラスとの掛け合いにより盛り上がっていくスタイルは、ジュリィー時代の面影があるかもしれません。
この狂気とも言える感情の爆発も、慎一郎さんの武器のひとつ。
久しぶりに、この引き出しを開けてくれたのが嬉しかったりもするのですよ。
入手経路も枚数も限られていて、ファンアイテム的な要素も強いですが、収録された内容はどちらも期待に応えてくれるもの。
制作中のアルバムにも収録される予定ですので、俄然、完成が楽しみになってきました。
<過去の慎一郎&杏太に関するレビュー>