解体新書-令和版-/仮病
1. 病ンデローム
2. LoBoToMY
3. トリクアトリト!
4. white
"新宿ブレイズへの道"ツアー中の仮病による、4曲入りのミニアルバム。
アングラ的な匂いを漂わせつつ、思いのほか懐が深い彼ら。
本作では、随分とメンヘラ系に寄せてきた感がありますね。
リードトラックとなる「病ンデローム」で見せた、可愛いワーディングをダークに使いこなすセンスは、もはや本職。
性急なリズムで送り込まれる同期のフレーズが焦燥感を煽りつつ、ポップさを前に出して、中毒性を高めていきます。
濃いキャラクターも活きて、うまくハマったのではないでしょうか。
その他、ロック色を強めた攻撃性の高い「LoBoToMY」、ダークメルヘンな雰囲気を漂わせた「トリクアトリト!」、バラードと見せかけてカオティックな展開に突き進む「white」と、限られた曲数の中で多才さをアピール。
あえて統一感を出していない構成の中で、どの楽曲にも癖を持たせて、仮病としての個性を見出そうとしているアプローチは、なかなか面白いなと。
音楽性として新しいというわけではなくても、仮病として次々にアップデートしていることを示している。
飽和した感のあるメンヘラ系も、手数のひとつと見せることができているのですよ。
あと一歩、爆発力のあるキラーチューンがあれば、という課題は残ったままなのですが、器用さは大きな武器。
ここまで来たら、何でもアリを貫いてほしいものです。
それにしても、クリスマスシーズンのリリースで、ハロウィンソングを持って来たのはわざとなのだろうか。
コロナ禍における制作スケジュールの関係で、トップシーズンを逃したと考えるのが妥当なのだろうけれど、彼らの場合、狙って倒錯的な季節感を演出していてもおかしくないので。
<過去の仮病に関するレビュー>