逆襲のすゝめ/逆襲の自作自演屋。
1. 愛してる
2. 拝啓、人間様
3. 蛍火心中
4. 黒幕
5. 売春婦の憂鬱
6. 四十雀
7. 喪失
8. ヘロインと僕
9. 絶唱の色
10. 般若恋地獄
11. 噪音
2018年にリリースされた逆襲の自作自演屋。による会場限定音源集。
会場限定シングルとして販売されていた、3枚のCDを1枚のアルバムにパッケージ。
更に、先行シングルとして発表した「般若恋地獄」を追加したベストアルバム的な内容です。
初回限定盤には「黒幕」のDVD、通常盤には未発表曲「噪音」が追加収録されており、初期の彼らを網羅的に抑えるにはぴったりの作品と言えるでしょう。
サウンドコンセプトとしては、和製ロック。
ex-スカーレットのメンバーが中心となって結成されていることもあって、主軸となるスタイルは踏襲しつつ、散漫になっていた音楽性を整理。
レトロなフレーズと、歌謡曲的なメロディを武器に、正統派の哀愁系サウンドを奏でていました。
もっとも、"和"という共通項を統一した以外は、極端に絞り込むようなことはせず、アプローチとしてはむしろ自由になった印象。
MVが制作され、リードトラック的な役割を果たす「黒幕」は、読経の平坦なフレーズをモチーフに、ハードチューンへと昇華して。
「喪失」では、懐メロ感のある疾走メロディアスナンバーに落とし込んでいるし、「絶唱の色」のようなジャジーなアレンジも実に昭和的。
「般若恋地獄」では、和楽器による音色や、古風な音階によって和を表現しており、手を変え品を変え、バラエティ性も担保していますね。
通常盤にのみ収録された「噪音」は、ロックに振り切った激しさ重視のファストチューン。
メロディには和要素をしっかり残し、逆襲の自作自演屋。としての個性を活かしつつ、ライブへの誘導を果たす役割になっていたのかと。
残念ながら、2019年末に解散となってしまったので、これを耳にしてライブへの期待感が高まっても時すでに遅しではあるも、実質的なベストアルバムとしての機能は十分に保持。
会場限定シングルを持っていなければ、お得感の強い1枚です。
イチゼロ年代後半の和風+メンヘラ系ブームの中に埋もれてしまった感はありますが、やり続けたことによる洗練度合いの高さは本物。
もうひとつ、話題性の面で突き抜けることができれば。