[METEMPSYCHOSIS.] / DEXCORE | 安眠妨害水族館

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[METEMPSYCHOSIS.] /DEXCORE

 

DISC 1

1. [METEMPSYCHOSIS.]

2. DRAGOUT.

3. REPLACE OUR SOULS

4. Collapse [2020]

5. BREATH

6. the Ground

7. Scribble

8. Two-Dimensional

9. DON’T BE AFRAID [2020]

10. U.N.Know

11. 「T.c.b.t.s」

12. Demise

13. Truth=Betrayal

14. .PERIOD

15. Cibus (feat. Ryo Kinoshita from Crystal Lake)

16. Needle in the dust

17. Visitor

 

DISC 2

1. The Dead Sea

2. Mistake

3. above the clouds

4. A.S.H

5. noise

6. Miserable Imposter

7. Imitation

8. Coward

9. I’m President

10. BLACK PIG

11. NEW ERA

12. magnet

13. The Sky is Crying

14. Brain Washing

15. HEY!! Cockroaches.

16. Naked

 

 

Dr.直樹-naoki-さんの脱退後、新メンバーとしてDr.伶司-reizi-さんが加入。

新体制になったDEXCOREから、待望の1stフルアルバムが届けられました。

 

"EXTRA"、"RED"、"BLUE"、"WHITE"の4種類同時でのリリース。

書き下ろしのオリジナルアルバムと、過去の楽曲のリテイクアルバムが付属する"RED"を基本形として、それに豪華な特典を付属した限定盤"EXTRA"、オリジナルアルバムのみの"BLUE"、リテイクアルバムのみだが、2曲が追加されている会場限定盤"WHITE"と、多様なニーズに備えて複数タイプを用意したといったところでしょう。

全曲揃えるのであれば、"BLUE"と"WHITE"の合わせ技、流通盤のみで網羅性を高めたければ"RED"、とにかくコアなファンは"EXTRA"。

どれを買うか、どのように彼らの音楽と向き合うかで一生懸命悩んでみるのも、音楽を聴く前の楽しい作業だったりするわけです。

 

さて、本作を聴いてみて、彼らについて誤解していた部分があったなと。

ヴィジュアル系として存在しながら、それに媚びない本格派のデスコア、メタルコアのサウンドを響かせるのがDEXCOREの矜持。

そんな風に考えていたのだけれど、この[METEMPSYCHOSIS.]で感じたのは、カテゴリーやジャンルといった先入観に振り回されない自由さでした。

 

凶悪性に振り切ってメロディの概念を排除してしまった「Truth=Betrayal」のようなデスコアど真ん中の楽曲があれば、繊細なフレーズを紡ぎ出す「BREATH」のようなメロディアスなバラードもあって、引き出しの幅は広い印象。

それでいて、意固地に本格派ばかり追求するのではなく、流行りに飛びついてセルアウトを狙うでもなく、その振れ幅には、ある種の信頼が既に出来上がっていると言いますか。

ポップなメロディも、良い意味で抵抗なく使ってくるので、自分が見ていたのは彼らの多種多様な顔のうちのひとつでしかなかったのだな、と認めるしかないのですよ。

 

もっとも、それが様になっているからこそ、本編だけでも17曲のボリュームをダレずに聴かせ切ることができるというもの。

サウンド面だけでなく、Crystal LakeのRyoさんとコラボレーションした「Cibus」など、企画面での意識付けもあって、抜け目がありません。

コロナ禍の中、音源制作に集中できた環境があることも奏功したとのことだけれど、新体制になってからの短い制作期間で、全35曲、このクオリティでドロップできるとは。

ベテランバンドならともかく、1stアルバムでこの仕上がりは、もう感心するしかないですね。

 

激しさと衝動性をもって高らかに幕開けを宣言する表題曲[METEMPSYCHOSIS.]から、エモーショナルに展開されて鮮やかにフィナーレを飾る「Visitor」まで、度肝を抜かれっぱなし。

リテイクディスクの収録曲も、オリジナルのポテンシャルを最大限に高めるべくソリッドに、ハードに研ぎ澄まされており、メンバーチェンジを前向きに昇華している点からも、彼らの今後の飛躍を期待せずにはいられない。

もはやベストアルバムとも言える充実感で、若手からの突き上げに欠ける昨今のヴィジュアルシーンにおいて、流れを引き込む作品となり得る1枚です。

 

<過去のDEXCOREに関するレビュー>

BLACK PIG