THE MINCE / バラライカ | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

THE MINCE/バラライカ

 

1. -7-

2. Welcome to hell

3. Red lipstick

4. 刑法202条

5. アタッシュケース

6. ミンチ

7. Aftermath

 

ex-The 3rd Birthdayのメンバーを中心に結成されたバラライカ。

本作は、2017年にリリースされた2ndミニアルバムです。

 

gulu guluのDr.蛍ちゃんが、カタセケイ名義で在籍していたことでも知られる彼ら。

音楽性としては、ダウナーでダーク。

名古屋にルーツがあることもあってか、名古屋系のスタイルを踏襲した要素も強く持っていますね。

男受けしそうな硬派なサウンドにより、陰鬱な世界を表現していきます。

 

SEである「-7-」を経て送り込まれる「Welcome to hell」こそ、デジタルサウンドを強調して近未来的に仕立てていますが、ある種、それは見せ球とも言えるでしょう。

続く「Red lipstick」では、骨太なサウンドによりハードかつラウドに展開。

サビではミディアムテンポのメロディアスチューンへと変貌していくものの、じっとりとした湿度を感じさせるダークな世界観が常に纏わりついており、むしろ、こちらが本質であると主張していました。

 

そのまま突入していく「刑法202条」により、じめじめした空気感は、遂に雨を降らせてしまったかのよう。

気怠さを帯びたまま淡々と進行して、鬱々とした作風に確信を与えています。

「アタッシュケース」は、跳ねたリズムでノリの良さは感じさせるも、どこから滲んでくるのか、名古屋系としか言いようがないナンバー。

この2曲で、本作の評価は決定づけられたと捉えても間違いではないほどに、とにかくコアなリスナーが好みそうなサウンドですね。

 

実質的には表題曲とも受け取れる「ミンチ」は、2分程度のショートチューン。

ワンフレーズで突き抜ける潔さが売りなのですが、間奏部分には早口での語りが入るギミックもあって、ドラマティックに広げるためのアクセントにもなっているのかな。

ラストの「Aftermath」は、ほどよいテンポ感を維持したうえで歌モノとして特化したようなメロディアスナンバー。

なるほど、確かに「ミンチ」が入ったことでカオティック度合いが増し、アルバムとしての収まりがよくなった感がありますよ。

 

限定生産300枚と、流通量は少数。

バンドも2018年に解散してしまうため、知る人ぞ知る作品で終わってしまった感はありますが、もっと評価されてもおかしくないポテンシャルは持っていたはず。

生肉に大量の安全ピンが突き刺さったアートワークもインパクトがあるので、気になったら手に取ってみてほしい1枚です。