メリーの「5 Sheep Last Tour」、2日目となるなかのZEROホール公演に行ってきました。
本来は、5月にツアーファイナルとして開催されるはずだった公演。
コロナ禍におけるリスケジュールの影響を受けて、ファイナルは別に設けられることとなったため、CORE限定ライブを除けばツアー初日となるこの日に振り替えられることとなりました。
もっとも、現時点においても有観客ライブの開催には議論がある状況。
様々な選択肢があったのだと思われますが、本ツアーを最後に、Gt.健一さんの脱退が発表されていることもあり、彼らの場合はツアーを回り切るということを最優先に決行したという印象です。
加えて、払戻をしなかった場合の返礼品対応や、対策費の寄付の募集等、金策にかかるアナウンスの方法でも物議を醸している最中でもあり、行くべきか行かざるべきかは非常に悩むところでもあったのですが、純粋にこの5人でのライブが見れる最後のチャンスだな、ということと、このタイミングで開催されるライブの空気を体感できる機会もそうそうないな、という好奇心もあり、きちんと自己防衛策を整えたうえで行ってみることに。
まぁ、正直なところ、来年ぐらいに延期になると踏んでチケットを手元に持っていたら、運営が決行するって言い出したから後に引けなくなった、に近いのですけれど。
セットリストは、ミニアルバム「for Japanese sheeple」や、フルアルバム「エムオロギー」からの選曲が大半。
健一さんの脱退を意識したオールタイムの総括というよりも、現在のメリーのスタンスを単独公演サイズに落とし込んだイメージだったでしょうか。
中盤以降は、環境要因による特殊なステージであることを踏まえた"魅せる"演出が増えていたように思いますが、逆に言えば、序盤のいつも通りっぷりには、戸惑いを通り越して笑ってしまいました。
掛け合いの部分で、当たり前のように客席にマイクを向けてきますからね。
物理的に叫んでいいものなのか、心の声で叫ぶにとどめておくのか、事前にアナウンスがあったわけでもなく、コンセンサスがとれていない状態で、なかなか一体感を出すには至れなかったのが本音かと。
ある意味で、この時期にライブに参加することへの背徳感が、吹っ切れた瞬間でもあったのですが。
ただし、多めに演奏された歌謡曲ライクの歌モノナンバーは、ホールには抜群に映えていました。
この日、MCらしいMCは存在しなかったのですが、「平日の女 -A面-」から「傘と雨」への繋ぎでは、"ここにメリーの雨を降らせる"という前フリをVo.ガラさんが行ったことで、ミラーボールの演出までがドラマティックに見えてきます。
また、激しい楽曲についても、VJを使用した演出を用いるなど視覚的な工夫をしていましたし、何より、のたうち回るようにステージを動き回るガラさんを見ていれば、たとえ自らの体を動かさなくても楽しむことはできたでしょう。
この辺りの極め付けは、1stアンコール。
光を放つ球体のオブジェを複数ステージ上に設置し、それにもたれかかったり、背後に回ったりして、照明演出の可能性をひとつ高めていました。
「for Japanese sheeple」の収録曲でまとめた構成も、コンセプチュアルに聴かせるにはぴったり。
あまりの没入っぷりに、これがアンコールという位置づけなのをすっかり忘れて、どっぷりと浸かってしまいます。
ついでに、もうひとつ特筆すべきパフォーマンスは、ガラさんのギターですな。
1曲、アコースティックギターを奏でながらレトロなフレーズを歌い上げ、そのときだけはトリプルギター編成に。
ここにきて、武器がひとつ増えた感がありますね。
その時点では、"珍しいものを見ているな"とワクワク感が高まったのだけれど、冷静に考えると、健一さんが不在となった後への布石だったりするのかな。
こういう場面は、今後、増えていくのかもしれません。
さて、実際行ってみての感染予防対策ですが、ここまでやっているのであれば、変に喧嘩売ったようなコメント出さずに、素直に対策内容を公表すればいいのに、という内容だったのではないかと。
質問票の事前提出、サーモグラフィ体温計にオート消毒液の導入、マスク着用のうえで簡易フェイスガードも配布され、入り捌けも混雑しないように仕切ってある。
会場には、本来キャパの3分の1程度しか来ていなかったこともあり、出席率の高いCORE限定シートを除けばスペースも十分に確保できていたと思いますし、払戻が少なければ2部制にするプランもあったのでしょう。
ステージとホールの間に遮蔽物がないので、そこだけリスクをとった形ですが、後方や2階席で見る分にはあまり危険性を感じなかったのでは。
むしろ、マスク+フェイスガードによる息苦しさのほうが死活問題だった気もします。
兎にも角にも、ステージで自由に演奏するメリーを見ると、お世辞が不要なレベルで格好良い。
だからこそ、一枚岩でこの日を迎えられなかったことに悔しさが残るし、純粋に楽しむという感情以外のものを会場に連れて来ざるを得なかった状況にモヤモヤがないわけではありません。
彼らが伝えたかったのは、最後に演奏された「Happy life」の、"世界がどうなったって 別にそれでいい 目の前の人たちを幸せにしたいだけ"という言葉に集約されているのかと。
それはわかったうえで一言添えると、メリーが良いライブをしたから幸せだ、という単純な人間ばかりではないし、それと引き換えに今まで築き上げてきたメリーの評価や信頼が音を立てて崩れていくようなことがあれば、その幸せが吹き飛んでしまうファンだってたくさんいる、ということも理解してほしいとも思うのです。
なんだかんだ、経験値としてはひとつレベルアップした感覚。
この時期だけの特殊経験、で終わってくれればいいのですが、当面はこの状況も続きそうですよね。
たらればだけれど、本来の形でこのライブに臨みたかった。
月並みではありますが、それに尽きます。
1. sheeple
2. 頭がザクロ
3. Black flag symptom
4. ロストジェネレーション
5. 【人間曲芸坐】
6. モノクローム
7. 平日の女 -A面-
8. 傘と雨
9. ハーメルン
10. F.J.P
11. ジャパニーズモダニスト
12. 千代田線デモクラシー
13. エムオロギー
en1. Toxicosis Island
en2. 匿名希望
en3. Kamome Kamome
en4. 陽の当たらない場所
en5. Happy life