羅紗/CANARY
1. 禁じられた贈り物
2. Lyre
3. merciless
ex-DeshabillzのDr.JUNさん、Ba.時雨さんらによって結成されたCANARY。
本作は、1998年にリリースされた彼らにとって最後のシングルとなりました。
リリース時点では、時雨さんは脱退済み。
後任のベーシストとして、後にVice†riskやLa'miss†fairyにて活躍するex-LA VALLIEREの紫乃さんが加入しています。
3,000枚限定での生産となっており、3曲を収録。
歌詞はすべて、Vo.KAZUKIさんが手掛けているようですね。
「禁じられた贈り物」は、紫乃さんがコンポーズしたナンバー。
クラシカルで派手なギターのリフと、ゴリゴリと攻めるベースの重低音。
新たな血液となる紫乃さんの楽曲ではありますが、前作から地続きと思えるほど、CANARYの音楽性に早くも溶け込んでいます。
スピードを上げて激しさを増したり、ドロドロとダークに展開したりと凝った構成になっており、心なしか、メロディ要素が強化されているでしょうか。
続く「Lyre」は、Gt.美希さんが作曲を担当したミドルチューン。
タム回しに特化したようなドラムのフレーズが特徴的で、王道的な疾走感や、退廃的なハードさとは異なり、当時としては新鮮。
無表情で淡々と進行していくイメージを与えています。
メロディにも起伏がなく、ワンフレーズ勝負なところはあるのですが、カップリングとして違いを生む意味では機能しているとも言えるのかな。
ある種、この虚無を感じさせるサウンドが、世界観とはマッチしていたのかと。
ラストに届けられた「merciless」は、ミニアルバム「嘆きの楽園 ~ざわめきの章~」に収録されていた楽曲のリテイク。
こちらは、JUNさんの楽曲となり、本作に収録されたナンバーは、いずれも作曲者が異なるということになります。
そこまで期間はあいていないものの、音質については大きく向上していることがわかる。
イントロの導入部分でシャウトが重ねられるなど、ライブ感を増すような工夫があり、ベースのフレーズも拾いやすくなった気が。
歌唱力の安定感という点については、もう少し頑張って欲しかったのも本音ですが、この胸がザワザワする感覚は、ダークなCANARYのサウンドには不可欠だったのかもしれません。
Deshabillzを踏襲しているとも言えるクラシカルでハードなサウンドと、音域を狭くすることで、キャッチーさを拒絶するようにドロっと仕込んだメロディライン。
そこに紫乃さんによる主張の強いベースが加わって、結果としては、ある程度マイルドになったのかな。
もっとも、マイルドにしないドギツさを売りにしてカリスマ性を得たDeshabillzが比較対象になってしまう部分は否めず、インパクトとして突き抜けられなかったのが残念。
聴きやすさを意識して進化できていれば、もう一歩先に進めたバンドだったりしたのだろうか。