rush / DIG DAG | 安眠妨害水族館

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rush/DIG DAG

 

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9. Chelucy Girl

10. ~Veronika~

11. FULL※TEN

12. POP

 

CASCADEのVo.TAMAMIZUさんと、Dr.HIROSHIさんによるユニット、DIG DAGの1stフルアルバム。

 

CASCADEとしての活動が停止していた2007年に結成。
2009年からはGt.MASASHIさんが合流してCASCADEとしての活動が再開したため、DIG DAGとしての活動は実質的に休止状態に。

本作は2008年にリリースされた、DIG DAG名義では現時点で最後の作品となります。

 

彼らのパブリックイメージであるカラフルでポップな音楽性は、ある程度踏襲。

個性的なTAMAMIZUさんの歌声を活かすべく、特にメロディについてはキャッチーに仕上げていますね。

ピコピコサウンドを極端に打ち出して、ナンセンスさを強めた「Kaban Pocket」なんかは、あまりの"らしさ"に思わずニヤリとしてしまったリスナーも多かったのでは。

一方で、大局的にはレトロフューチャー感は薄まって、意外にも、ノイジーでハードな音像に。

デジタルロックという触れ込みではありましたが、なかなかどうして、がっつりバンドサウンドの楽曲も多く、このデジタルとアナログがせめぎ合うヒリヒリとした感覚が、DIG DAGとしての個性と言えるでしょう。

 

CASCADEの延長線上、というのが当時の評価だった気もするけれど、CASCADEが復活を遂げての結果論としては、これはこれで別物と見た方が自然だったな、と。

ポップとハードの境界線を探りつつ、かなり実験的なアプローチにも果敢に挑戦。

シンプルになったようにも見え、抽象的なアート性が高まったようにも見え、捉えどころのない中でノイジーなプログラミングとコケティッシュな歌声が響くというミスマッチは、どうしたって中毒性を高めてくれます。

最初から最後まで、アルバムを通して聴きたくなる1枚。