misty/Blüe
1. promise love
2. PROMISE
3. MISTY
4. CHILDHOOD'S END
5. Dear
Blüeが1997年にリリースしたミニアルバム。
Vo.ARIHITOさんが加入してからは初の音源となりました。
当時、Vo.SHIGEさん、Key.TETSUさんが脱退となり、4人編成となっていた彼ら。
SHIGEさんは、フロントマンというだけでなく、コンポーザーとしての役割も果たしていたため、新体制での再出発は、実質的には別バンドになったと捉えても差し支えないほどの受難であったと思われます。
しかしながら、上モノを使った幻想的な世界観を紡ぎつつ、マイナーコードで疾走するメロディアスロックを追求するスタンスを継続。
Kreisレーベル所属のバンドらしい美しいインストナンバー「promise love」からスタートするなど、ある程度寄せた部分はあるにせよ、結果として、"これはこれで良さが見出せる"という評価を得て、最終的にはメジャーデビューまで漕ぎつけたのだから、自力があったのだな、と。
ある種、本作は望みを繋いだ1枚と捉えることもできそうですね。
「PROMISE」は、LUNA SEAの直系とも言える疾走系ナンバー。
編成的にはギターは1本ですが、レコーディング上はツインギター風にアレンジされている部分もあり、キメなどのギミックも多めに取り入れられています。
サビのメロディに、ややインパクトが欠けるものの、下手にキャッチーさを重要視しなかったことが、続く「MISTY」のインパクトを強烈に高める助走になっていたのですよ。
その「MISTY」のキラーチューンっぷりよ。
Bメロの時点で既にサビとも言える強さがあり、満を持してのサビでは、更に爆発。
透明感のあるアルペジオと、疾走感のあるタイトなドラムの相性も最高で、世界観を継続しただけでなく、期待を超える名曲を持ってこれたことも、従来のBlüe像を崩さずに次のフェーズに移ることが出来た要因だったと言えるでしょう。
空間を意識したミディアムナンバー、「CHILDHOOD'S END」では白系バンドとしての矜持を主張しつつ、作品全体のバランスを整えるアクセントとしても機能。
繊細で美しいだけでなく、どこか翳りがあるメロディ運びは、ノスタルジックな鍵盤の音色と重なって、絶妙な哀愁を生み出しています。
ラストの「Dear」は、サビからスタートするキャッチーさで他の疾走ナンバーとの差異化も図っており、クロージングにもぴったり。
狙い通りなのか、偶然の産物なのかはわかりませんが、当時、彼らが置かれていた状況の中では、これしかないという見事な構成で、Blüeの復活を高らかに宣言していました。
マイナス要素としては、ARIHITOさんの歌唱スキルが、SHIGEさんと比較すると未熟だったこと。
その声質の透明感を持って、世界観に説得力を持たせていたSHIGEさんに対し、ARIHITOさんは典型的なV系歌唱で、鼻にかかったような歌声になってしまっています。
ライブを重ね、クオリティを高めることで改善していくのですが、本作を作ったときの初期衝動に間に合っていればと思うと、少しもったいないような。
もっとも、あくまでSHIGEさんが早熟すぎたということでもあり、1997年当時としては録音環境は決して悪くない。
安価で手に入れることができる名盤としても知られていますので、歌声に抵抗がなければ、一度は耳にしておきたい作品です。
<過去のBlüeに関するレビュー>