TRUTH / Blüe | 安眠妨害水族館

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TRUTH/Blue

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1. BE WILD
2. 花
3. MILK
4. 7201
5. 少年の詩
6. tokio spark
7. カナリア
8. 孔雀とカラス
9. MONSTER
10. Wonderful Time

Blüeの3rdフルアルバム。
2001年の作品です。

彼らは、2002年に解散となってしまいますので、本作は最後のオリジナル・フルアルバム。
2ndアルバムであった「birth」までの音楽性を大胆に再構築して挑んだのが、この「TRUTH」だったと言えるでしょう。
シングル「少年の詩」で見せた骨太ロック路線を継続し、アルバムとしてまとめあげた作品となっていますね。
全10曲という引き締まった構成は、ヴィジュアル系バンドからロックバンドへと脱皮しようとする彼らの意思が反映されているよう。

しかしながら、この強いこだわりが、賛否両論を生んだのも事実。
キーボードを入れてキラキラと幻想的な白系的な世界観を得意としていたBlüeが、ある種、確立していた個性を捨ててしまったのだから、前兆はあったものの困惑するリスナーも少なくありませんでした。
この手の路線変更による骨太ロック化は、ヴィジュアルバブルが崩壊したタイミングで彼らに限らず見られたので、起死回生を図るテコ入れだったのかもしれませんな。

もっとも、そのような時代的な背景を気にしなければ、メジャーシーンで活躍したバンドだけあって、クオリティは相応に高いです。
メロディの良さが消えてしまったわけではなく、「花」、「MILK」といった持ち前のポップセンスを発揮した楽曲は、なんだかんだBlüeはBlüeだな、と思わせてくれる。
その中に「tokio spark」、「MONSTER」といった、これまでの音楽性では馴染みにくかったライブ感第一の楽曲がスパイスとして加えられ、バランスとしては決して悪くないのですよ。
アコースティック調の「カナリア」もアクセントになっていて、間違いなく音楽的な幅は広がっていました。

結局、路線変更を急激に進めすぎたのですかね。
それまでの王道を織り交ぜつつ、新機軸となる楽曲を段階的に送り込めれば、もっとすんなり受け入れることができたのではないかと。
アルバムとしてまとまっているだけに、切ない疾走ナンバーを入れにくかったのも理解はできるのだけれど、Vo.ARIHITOさんが典型的なV系歌唱をするタイプのボーカリストだったこともあり、慣れるまで時間がかかったというのが本音です。

最後のミニアルバムとなる「Frontier」では、ハードロック路線も含みつつ、原点回帰的なサウンドも使われていて、この頃の音楽性が洗練し出した印象。
良くも悪くも振り切った音楽性にチャレンジしたことで、得たものがあったということなのだろう。
解散せずにもう1枚アルバムを作り出せていたら、名盤が誕生していたのかも。

<過去のBlüeに関するレビュー>
CHRONOGATE
SINCE
BREATH