「真相」@高田馬場AREA(2019.11.30) | 安眠妨害水族館

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ホタルの16年振りのフルアルバム発売記念ワンマン、「真相」に行ってきました。

復活後では、2回目となる単独公演。

同日に先行発売となったフルアルバム「事件」の収録曲が中心となることから、セットリストもガラっと変わってくることが想定され、まさか、こんな新鮮な感覚をホタルのライブで味わうことができるとは。

ゲストピアニストにLament.のVo.悠歌さんが参加するという5人編成となることも発表され、ここにきて、新しい試みにもチャレンジしていましたね。

 

導入は、既にシングルとして発表されていた「社会に散った日」。

アルバムの1曲目に据えられているナンバーでもあり、復活後の彼らのアンセムでもあったので、これは想像の範囲内。

ただし、ピアノが入ったことで、生まれ変わっていたな、と。

美しい鍵盤の旋律が添えられることで、この楽曲の持つ焦燥感や、ラストシーンでの開放感が強調されていました。

印象的なスタートダッシュを決めると、新曲「魔が差す」で、更に加速度を上げて、定番の「切り裂きジャック」でとどめを刺す怒涛の展開。

この段階で、ライブハウスに来ているぞ、という高揚感が物凄かったのですよ。

 

その後も、新曲を中心に、現在のホタルを見せつける。

Vo.慎一郎さんの表現力は、むしろ今がピークなのでは、と思ってしまうほどに鮮烈で、あまりライブでは歌い込んでいないはずの新曲たちを、まるで何年も演奏しているかのように世界観に没入して歌い上げる。

Gt.杏太さんは、現在でも場数が多いこともあって安定感は抜群で、当時よりもコーラスパートが充実した印象。

Ba.たかしさん、Dr.ガオさんも、再結成後3年ということで、もはやブランクは感じさせません。

同期どころか、クリックすら使わないホタルのライブ、ガオさんは、公演の2/3が終わるまでは緊張していたとのことだったので、もしかしたら走ったり遅れたりはあったのかもしれないけれど、新曲中心だから問題なし。

そんな割り切りができるこの日の環境も、気持ちの良いリズム感に貢献していたと言えたりして。

 

贔屓目があるにしても、この新曲たちがどれも良かった。

物語を作り込んで、昭和歌謡の主人公になり切る当時の楽曲に惚れ込んだ身としては、新曲よりも既存曲、という方向に転んでもおかしくはないと自覚していたのだけれど、全然そんな気持ちにはならなかった。

当時はどこか遠い存在として書かれていた歌詞が、大人になったことで、より身近な痛みや葛藤として紡がれるようになり、大人になった僕はそれにビシビシとシンパシーを感じてしまう。

いつからか、音源を聴いてからライブを見る、の流れが定着してしまっていたけれど、いきなり新曲群に生で触れることって、こんなにも圧倒的な衝撃を受けるものか。

まだまだ聴いてみたい、そういう欲求が高まってしまうのです。

 

一方で、既存曲の使いどころも的確。

「素晴らしき日々」でズドンと暗く落としたところに「9才」、「死にたがりと天」を繋げたのは、本当に効いていましたね。

ピアノが加わったことを踏まえれば、生鍵盤で「西口改札ラプソディ―」が聴けたのも良かったな。

現役当時でもほとんど演奏されることがなかった「壊れた太陽」をここで披露するサプライズもあったし、「あなたへ」へリンクしていく「遠き落日」については、グッとこないオーディエンスはいなかったのではなかろうか。

 

MCでは、杏太さんが突然、イエモン風のメンバー紹介をしたいと言い出して、格好良いのかアットホームな茶番なのか、なんとも判別がつかないメンバー紹介コーナーが用意されたのが面白かったですね。

最初、ガオさんの紹介の途中、慎一郎さんがツッコミに入ったタイミングも絶妙で、なんというか、チームワークが出来上がっているな、と微笑ましくなる。

楽曲のシリアス感が物凄いだけに、MCがゆるく楽しい、というギャップが活きるのですよ。

 

個人的に、もっとも沁みたのは「落夏星」。

シンプルでノスタルジックなメロディは、ホタルの真骨頂。

そして、間奏での語りにおける迫力、説得力は、慎一郎さんの真骨頂。

今後、「たからもの。」の位置に入ってきてもおかしくなさそうな名曲が出来上がりましたね。

 

アンコールは、SE+語りの『事件「真相」』を熱く響かせつつ、代表曲を立て続けに。

「たからもの。」で終わりと思っていたから、「四季」での締めは嬉しかったです。

2020年は今年よりも精力的に動こうと思っている、とのコメントもあり、短期的な復活ではなく、今後も前向きに活動してくれそうなのが嬉しい限り。

メンバーの仕事の都合上、ライブが出来ない時期があったり、コンスタントに音源を出したりは出来なかったりするようだけれど、存続を名言してくれるだけで救われることだってあるわけで。

復活から3年が経ち、現役時代よりも、復活後の活動が長いことになっていくのだなぁ、なんて考えると、まだ不思議な気持ちになるのが本音なのですけれど。

 

 

SE. 事件「深層」

1. 社会に散った日

2. 魔が差す

3. 切り裂きジャック

4. レッド

5. 数え歌

6. 花時雨

7. 素晴らしき日々

8. 9才

9. 死にたがりと天

10. ルージュの警告

11. 西口改札ラプソディ―

12. 渇きと歓楽街

13. 壊れた太陽

14. サタデーナイトフィーバー

15. 泣き空

16. 落夏星

17. 遠き落日

18. あなたへ

 
SE. 事件「真相」
en1. サクラチル
en2. たからもの。
en3. 四季