運命開化/ディオーラ
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「運命開化」
1,600円
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1. 運命開化
2. 葬獄
3. ネメシス
DIAURAが、もうひとつの姿であるディオーラとして始動。
"ネオダークネス"をコンセプトに、1stシングルをリリースしました。
ステージネームも、Vo.妖華、Gt.禊-kei-、Ba.処飢夜、Dr.龍耶-tatsuya-へ変更。
至るところに、古き良きを滲ませる内容に仕上がったのかと。
クリーントーンのギターソロに、印象的なリフ、ツタツタと突っ込むドラムのリズム…
更には、語りが入ったりシャウトの掛け合いでまくしたてたり、黒系バンドからの踏襲している手法が多く見られます。
「運命開化」は、表題曲だけあって、彼らがこのプロジェクトで表現したい"ネオダークネス"がもっとも色濃く出ているのではないでしょうか。
メロディの乗せ方などは、完全にDIAURA節が炸裂しており、その意味では現代的とも言えるのだけれど、サウンドアプローチの面でシーンの流行は極力排除。
より源流に近づけた結果、装飾過剰なギターのフレーズが前面に押し出されているなど、90年代のバンドがDIAURAのアレンジを手掛けたかのような倒錯的な世界観を実現しているのです。
90年代っぽい楽曲を現代のサウンドで、あるいはサウンドまで90年代を再現して、というバンドは既にいくつもあるけれど、演奏については時間を巻き戻し、楽曲そのものは普段通り、というのはありそうでなかったニッチな路線。
あの頃のコテコテ系ナンバーを期待しすぎると肩透かしにあうのかもしれませんが、フラットに聴けばなかなか面白いのでは。
カップリングの「葬獄」や「ネメシス」についても、過去と現代を行ったり来たり。
特に「葬獄」は、キメが多い前奏に、語りからシャウトに変貌していく煽りパート、ウネウネした無機質なギターリフなど、ギミック的には「運命開化」以上に90年代からの影響を強く打ち出しています。
「ネメシス」も、前半のシャウトパートに、後半の歌モノ+語りという構成と、古き良きの匂いを漂わせていますよね。
一方で、やはりサビのメロディは、現代のリスナー向けにカスタマイズされているイメージ。
ここの気配りが絶妙で、古臭いだけで若い世代を置いてきぼりにするスタイルでもなければ、付け焼刃すぎてコンセプト負けしているわけでもなく。
新テーマを打ち出したときには、何番煎じだよと思ったものですが、確かに彼らがこれをやる意味はあったようです。
もっとも、そもそもDIAURAはコテコテ系と縁遠い音楽性でもなかったので、名義を変える必要があったのか、というのは議論の余地が残るでしょう。
何やら面白そうなことをやっているぞ、と普段シングルまでは買っていなかった層でもCDを手に取るきっかけになったのは間違いありませんが、名義を変えたことで、縛りが入ってしまったのも事実。
せっかくのキラーチューンなのに、DIAURAのライブでは演奏しにくい、なんてことになっても面白くないし、かといって、何もなかったかのようにDIAURAのライブで演奏されてもモヤっとする、というジレンマに陥ってしまいます。
もちろん、話題性を作ることはバンドにとって大事なことで、現時点ではプラスが勝っている感覚ですけれど。
さて、ディオーラとしての第二弾シングルや、フルアルバムなどの制作予定はあるのでしょうか。
打ち出したからには、企画モノで終わりにすることなく、やり切って欲しい。
中堅的な立ち位置になった彼らにとって、カンフル剤となり得る1枚です。