フー・ザ・シンナーズ ~このスピードについてこれるか!~/ザ・シンナーズ
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フー・ザ・シンナーズ~このスピードについてこれるか!~
2,864円
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1. 天井裏からロックオン
2. デス・トリッパー
3. ピストルミルク
4. トルエンロック
5. 最狂な男
6. バグリズム
7. バカが如く
8. 充電煙草
9. 暴走天使
10. 裏メニュー
11. 愛脳
12. トルエンサーフ
SEX-ANDROIDのVo.雄大とBa.淳朗を中心に、ex-グルグル映畫館のGt.沼倉真、ex-SNAIL RAMPのDr.石丸を迎えて結成されたザ・シンナーズ。
本作は、初音源らしく衝動性に溢れた1stフルアルバムです。
主軸として置かれていたのは、SEX-ANDROIDでも時折見せていたパンク魂。
メインコンポーザーは淳朗さんが担っており、こんな才能もあったのだな、と驚かされました。
鋲のついた革ジャンにやサングラスなど、不良っぽいアイコンを前面に出したヴィジュアルも含め、等身大で時代錯誤を繰り広げている感覚が、実に彼ららしいな、と。
さて、タイトルが示すとおり、とにかくスピーディーな作品ですね。
楽曲の大半が2分台、それ以外のナンバーも3分台前半。
勢いだけで突っ走る楽曲を集めたといったところで、駆け引き無用のスピード感を見せています。
最初に速度が落ちるタイミングが、ラスト前である「愛脳」というあたりに、どれだけ速い楽曲がノンストップで送り込まれているかが理解できるでしょう。
そして、雄大さんのハスキーな声は、この手のサウンドにハマらないわけがない。
ラフに吐き捨てる歌い方がサマになっていて、メロディが最優先ではない楽曲も多いのだけれど、しっかりと自らの個性を落とし込んでいます。
パンキッシュな音楽性ということもあって、SNAIL RAMPでの成功を経験している石丸さんがリズムを支えているのも大きいのでは。
キャリアが武器となり、高いレベルで初期衝動を形にしているという印象でした。
やや楽曲が似通っているのは、意図的にファストチューンを固めたという背景もあるのかな。
次でどう出るか、ということではあるのだけれど、唯一のアクセントナンバー「愛脳」を作曲した沼倉さんに期待。
歌モノ的な要素でも戦えるボーカリストを擁しているだけに、ワンフレーズのゴリ押しではなく、メロディアスな楽曲なんてのにも挑戦していただきたいものです。
シーンを跨いで、80年代のパンクスタイルを現代に持ち込もうとする彼ら。
"初期衝動"に遅すぎるなんてない。
そんなベテランバンドマンの矜持が詰まっている1枚。