月かなしブルー/GENERAL HEAD MOUNTAIN
![]() | 月かなしブルー 2,300円 Amazon |
1. 鳥籠
2. 蝉時雨
3. 硝子
4. 群青
5. 散歩道
6. 罪と罰
7. 脱兎
8. 午前四時
9. 紅色
10. 窓辺
11. 雪月花
12. 砂時計
13. 手紙
およそ3年ぶりとなるらしいV系以外のCDレビュー。
感覚が空くと唐突感が出すぎてしまうので、今後はもう少し定期的に差し込んでいこうと思います。
宮崎を拠点に活動し、メジャーデビューも果たしたGENERAL HEAD MOUNTAIN。
2011年に解散しており、セールス的には伸びなかった印象ですが、邦ロックシーンに小さくない影響を与えたバンドのひとつです。
本作は、2008年にリリースされた1stフルアルバム。
ジャケットのイラストは漫画家・魚喃キリコさんが担当しており、メジャーデビュー後の2010年に再販もされました。
彼らの魅力は、なんといっても性急なリズムに日本語で乗せられる叙情的なメロディ。
Hi-STANDARD以降ののパンクシーンは、英詞で歌うのがお洒落みたいな空気があったのですが、彼らぐらいから日本語への揺り戻しが見られるようになってきたのではないかと。
とにかく激しく、スピード感に溢れていて、それこそ英詞で歌えばスタイリッシュにキメることもできそうなのだけれど、あえて泥臭く歌い上げることで、パンキッシュなサウンドの中に四季彩やわびさびが浮かび上がるような。
また、感傷的なメロディを前に押し出す「散歩道」や「手紙」といったバラードナンバーも、フルアルバムだからこそ効いてくる。
ミニアルバムだとギャップが激しくなりすぎてしまうし、メジャー以降は全体的にマイルドになった感もあるので、彼らの音楽における鋭さと柔らかさのバランスは、本作がベストだと個人的には。
Vo&Ba.松尾昭彦さんは歌い癖が強いタイプなので、好き嫌いは分かれるのかも。
もっとも、だからこそ感情を込めて叫ぶような歌唱スタイルがハマる部分もあって、受け入れられるリスナーにとっては武器でしかありませんけれど。
ネックはむしろ、ベースラインがやや単調なところか。
衝動性に任せてのルート弾きが悪いわけではないが、これだけの曲数があると、もっと工夫しても良かった気がしますね。
せっかく歌心が溢れているのだから、ベースも一緒に歌ってほしかったなぁ。
勢いよくスタートする「鳥籠」も良いし、超ショートナンバー「午前四時」から、「紅色」に駆け抜けていく焦燥感がツボ。
椎名林檎さんのカヴァーである「罪と罰」も、彼らの音楽性の懐の深さに気付かせてくれた。
物販で購入したところCDが入っていなくて、後日バンドTシャツとともに送られてきたのも今となっては良い想い出。
久しぶりの更新だったので、思い入れの深い作品を選ばせていただきました。