出陣/万鬼隊
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出陣
1,080円
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1. 出陣
2. ハコ乱レ
"妖怪新撰組"をテーマに、人に仇なす悪しき妖怪を討伐する為立ち上がった人に組する五人の妖怪、万鬼隊。
本作は、2枚目となる短編記録絵巻です。
妖怪を歌うバンドとしては、V系シーンに親和性が高いところだと、陰陽座が先駆者であり、代表格となるのでしょう。
ただし、王鬼、天狗、妖狐、白虎、大蜘蛛と、自らを妖怪に見立てて活動しているバンドはまだまだ新鮮。
妖怪ブームは少し落ち着いた感もありますが、V系シーンからも、妖怪バンドが満を持して登場したといったところですね。
さて、その「出陣」ですが、"皆の者、出陣じゃ!"という掛け声からスタートする勢いのある楽曲に仕上がっています。
正直なところ、もっと不気味な世界観だったり、和風のメロディだったり、コンセプチュアルな歌詞だったり…というのを期待していたのだけれど、あまりそういった要素はなし。
現代シーンにすんなり馴染む、聴きやすさを重視した構成になっているから逆に驚かされた。
そう、歌詞カードに記載されている部分だけを見る限りでは、メッセージ性の強い普遍的なロックナンバー。
ただし、見掛け倒しかといったらそうでもないから面白いのだ。
冒頭の掛け声もそのひとつなのだけれど、戦国時代風の言い回しでの台詞が随所に挿入されて、普遍的な歌詞に彼らのコンセプトに沿った意味付けを施していく。
まだ洗練されてはいないものの、1曲で2度おいしい仕掛けとなっており、これがもうひとつ深いところで展開されればと想像すると、ワクワク感が高まります。
カップリングの「ハコ乱レ」は、方向性としては大きく変わらないが、ハードさを前に出した形。
こちらも、デスヴォイスで激しく攻め立てるパートがあるなど、楽曲そのものは現代的なV-ROCKと言えるのですが、サビ前の印象的な部分に大衆的な和風フレーズを持ってくることで、コンセプトを強く意識づけます。
インパクトを重視して、ベタをベタと聴かせないようにする工夫は、なかなかのアイディアではないかと。
勢いのある2曲で攻めつつ、彼らの世界観を断片的に示しており、駆け出しの時期でのシングルとしては正解。
あとは、おそらくリスナーが待ち焦がれているであろう濃厚な世界観を、今後どうやって表現していくかにかかっていくだろうな。
次の音源のリリースも決まっているようで、台風の目になってくれることを期待したいものです。