メメントモリ/ゴーストレイン
メメントモリ
2,000円
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1. メメントモリ
2. cinema
3. World is pain
4. サイレンス
ex-ジュリィーのVo.伏見慎一郎が発起人となり、ex-ラヴィアンローズのBa.浦野健一を迎えて結成されたプロジェクト、ゴーストレイン。
本作は、CD作品としては初となる1stEPです。
従来は形にこだわらないユニットとして活動を開始した彼らですが、2016年にGt.渋谷 ヒロフミ(DISH)、Gt.Katsuhiko(SiCX)、Dr.pinky(ex-PLUNKLOCK)の3名が正式メンバーとして加入。
遂にバンド編成となって、流通音源を発表しました。
表題曲である「メメントモリ」は、当初、慎一郎さんのもうひとつのユニットである慎一郎&杏太の楽曲として演奏されていたミディアムバラード。
バンドでの演奏を前提として制作された経緯もあってか、ゴーストレインにて歌い継ぐ形となったようですね。
芯のあるバンドサウンドに添えられたピアノの音色が印象的。
慎一郎さんらしい、翳りや重苦しさを含んだ切ない歌詞は、ドラマティックな展開の中に一本のストーリーを描き出しています。
演奏面では、次々と主役が変わっていくような構成になっているのが面白い。
喰い合うわけではないのだけれど各パートに見せ場があって、丁寧に作り込まれているな、と感心しました。
ほんのりダークテイストが強まって、激しさを纏っているのが「cinema」。
サビのメロディにはキャッチーさもあって、このプロジェクトらしいサブカル色が色濃く出ているのではないかと。
続く「World is pain」も、がっつりと攻めるサウンドに仕上がっているのだけれど、広がりを見せるサビが秀逸。
勢いづいたところで、あえてテンポを落とす。
これによって、壮大さが際立ってインパクトが増した気がします。
同じメロディでもリズムパターンを変えて、「メメントモリ」同様にドラマ性を持たせているところもポイントなのかな。
ラストに送り込まれるのは「サイレンス」。
ダンサブルな要素も織り込みつつ、変拍子を加えたり、急にトーンを落としたりと、マニアックなアプローチも存分に楽しむことができる。
間奏での異国情緒漂うコーラスワークは中毒になりそう。
こういう楽曲もやるのか、という驚きを与えて、作品を締めくくっていました。
これまでに発表されてきた配信シングル2曲が美しいメロディを武器にしたポップチューンだっただけに、全体的な雰囲気としてダークに寄せてきたのは意外性あり。
シャウトやグロウルなどに頼らず、歌モノで勝負スタイルは相変わらずですが、その中で幅を見せつけたと言えるでしょう。
どの曲も個性的で癖があり、だけど統一感を失わない。
アルバムとしての完成度が高いと思えるのは、決してスキルや音質だけの問題だけではないはずです。
なお、アーティスト写真や詳細なクレジットの記載がない簡素がパッケージに、4曲入りのCDのみ。
これで2,000円というのは、やや強気すぎる値段設定のような。
もう少し、お手頃価格だったら良かったのだけれど。
<過去のゴーストレインに関するレビュー>