3日間に渡って開催された高田馬場AREAの20周年イベントの最終日に行ってきました。
2日目の彩冷えるも見たかったけれど、この日はホタルとFatimaが限定復活を遂げるということで、こちらを選択。
Zepp Tokyoにいるはずなのに、バックドロップが「AREA 20th ANNIVERSARY」のロゴなので、なんだか不思議な感じです。
LIPHLICH
トップバッターは、LIPHLICH。
この日の出演バンドのキャリアを考えれば妥当なのだけれど、必ずしもホームとは言えないイベントでの1番手にプレッシャーがかからないわけがない。
ただし、このバンドは、逆境でこそ活き活きとするから不思議である。
客が重くても関係ない、と言わんばかりにVo.久我さんのアカペラからスタートした「一輪」。
意外な選曲でしたが、広い会場に確かに映えるものです。
普段から盛り上がるライブだけが能ではない彼らだからこそ、魅せるライブを、と割り切ることが可能。
ショウ的な要素を強めに出して、いつの間にかオーディエンスを引き込んでいましたね。
特に、お経Verだった「不条理、痛快、蛇の歌意」の暗転するタイミング、"ああもうやってらんねぇ"の台詞には、ドキっとさせられました。
フロント3人、全員が"自分が主役だ"とでも言いたげに主張するステージングが面白い。
久我さんは、ワイヤードマイクにマイクスタンドまでついているのに、前後左右を広く使って行動範囲の制約を感じさせません。
Ba.進藤さんもフリーダムにのたうち回っているし、Gt.新井さんだって一歩も引かない。
これだけ個が強いのに、LIPHLICHとして濃厚な世界観を示してくれるのだから、その成果としてラストの「MANIC PIXIE」が盛り上がるのも必然だったのでしょう。
"お初にお目にかかります、LIPHLICHです。僕たちは今を生きているバンドです。"という彼ららしい挑戦的な挨拶も格好良かったな。
1. 一輪
2. マズロウマンション
3. My Name Was
4. 不条理、痛快、蛇の歌意
5. 淫火
6. MANIC PIXIE
ダウト
比較的最近のシングルは聴いていなかったので、知っている曲と知らない曲は半々というセットリストでした。
ただし、そんなことは関係なくテンションが上がってしまうのは、彼らの全身全霊のパフォーマンスがあるからこそ。
いつでも爪痕を残そうと我武者羅に突っ込んでくるイメージで、そろそろベテランの域に入ってくるのに、守りに入る気がさらさらなさそうです。
もちろん、ロックバンドとしては攻め続けてくれるほうが格好良いのだから、何も問題はありませんけれど。
LIPHLICHとは対照的に、こちらは盛り上げてなんぼ、というライブ。
それができるという確固たる自信。
経験値が高いだけあって、このあたりはさすがに上手いですね。
欲を言えば、これに広いハコ向けのナンバーも加えたいところ。
押すだけでも楽しさは伝わるけれど、全部終わったあとの余韻としては、メリハリがあったほうが奥行きが増す。
せっかく楽曲も増えてきたのだし、駆け引きをしていきたいところでしょうか。
ちなみに、全曲ライブの開催も決まっているのだとか。
100曲以上ある持ち曲、セットリストを順番に覚えるだけでも大変そう。
そりゃ、会場もざわつきますよ。
1. シャングリラ
2. DANCE NUMBER
3. 魁swallowtail
4. バクチ
5. MUSIC NIPPON
6. 卍
ホタル
前回のライブは、1年前の同じ日。
偶然なのか、これが縁というものなのか。
現役時代の最大キャパをあっさり飛び越える会場での再復活。
そこに渦巻く感情は、"バンド人生で一番売れてる…!"というMCが物語っていたのでは。
これはやってくれましたね。
「サクラチル」から「死にたがりと天」まで、MCなしで淡々と歌い上げる。
盛り上げる気などまったくなく、3曲もの間、棒立ちでステージを見入るだけのZepp Tokyo。
ワンマンだったとしてもどっぷり深く潜り込むゾーンで演奏する楽曲たちを、こんなところで持ってくるかよ、と。
強制的にトラウマを植え付けられるような感覚。
だが、これこそがホタルのストロングポイント。
唯一5曲だけの演奏、そのうちの1曲である「サクラチル」もショートバージョンでと、持ち時間は短かったのですが、その中で何かを残すにはという反骨精神が気持ち良い。
Vo.慎一郎さんの歌声は、ブランクを経ても、今がピーク。
その歌唱力、表現力は、Zeppだからといって見劣りするものではないことを証明したし、ライブ感が鈍っているメンバーをカバーするため、Gt.杏太さんがあちこち動き回っていたのも印象的でした。
「怪人二十面相」、「たからもの。」と、最終的にはしっかりお祭り騒ぎにも乗っかって。
11月にはワンマンを予定しているとサプライズの発表もあり、本当にこれから、バンド人生で一番売れるのかも!なんて思ったり思わなかったり。
1. サクラチル
2. 9才
3. 死にたがりと天
4. 怪人二十面相
5. たからもの。
D
シンプルな衣装のホタルから、ゴテゴテしたお耽美衣装のDに。
ヴィジュアル系って振れ幅が広いな、と改めて実感した瞬間でした。
何より演奏が上手いし、迫力もある。
ステージングも隙がなく、さすがの貫禄を示しています。
ファンタジックな設定を、まるで現実のものとして描くD特有の世界観。
ヴィジュアル系バンドがヴィジュアル系バンドである意味が、しっかりと踏襲されていましたね。
その中で、ずっと前からの代表曲、「闇より暗い慟哭のアカペラと薔薇より赤い情熱のアリア」や「Night-ship"D"」も織り込んだセットリストとなっていたのは嬉しい限り。
あれだけ高音のファルセットを、あそこまで力強く出せるボーカリスト、なかなかいないでしょうよ。
最後は、ニューシングルの「Dark fairy tale」で。
イベントライブの最後に、まだ浸透しきっていない新曲を持ってくるというのも、ひとつのチャレンジ。
安定感だけを求めては成長しない、という意志の強さを感じずにはいられません。
1. 光の庭
2. 名もなき森の夢語り
3. 闇より暗い慟哭のアカペラと薔薇より赤い情熱のアリア
4. 黒薔薇の騎士
5. Night-ship"D"
6. Dark fairy tale
LSN
ナイトメアのDr.RUKAさんによるソロプロジェクト。
実質的には、Vo.揺紗、Gt.齋藤 紳一郎、Gt.Shinobu、Ba.Sugiyaというメンバーを加えたバンド編成となっています。
基本的には、デジタル要素を強めてダンサブルに仕上げた楽曲たち。
これに、パンキッシュなノリの良さや、ポップなメロディを組み合わせて、自由な音楽性を実現しようとしていますね。
そのフリーダムっぷりを、演出面でも存分に発揮。
1曲目の「怪」の演奏を終了すると、"練習終わり!"と、もう一度「怪」のイントロが。
この段階で、当然ザワつくのですが、本当に最後までやりきってしまうから恐ろしい。
なお、二回目の「怪」は、ギターソロでギターを弾かずにピック投げに専念していたり、ボーカルもステージングを重視するなど、ラフな雰囲気がありました。
同じイベントで、楽曲の聴き比べができるとは思わなかったですよ、本当に。
メンバーがメンバーだけに演奏面での不安はありませんし、最大のインパクトが頭にあったとはいえ、その後ダレることもなく。
個人的に、この日唯一初見のバンドだったこともあって、楽しんで見ることができました。
1. 怪
2. 怪
3. Cruel
4. CRAZY CRAZY
5. Monsters inc.
6. PARTY
7. かみさまのいうとおり?
Fatima
トリはAREAの主、Fatima。
Moran以降はHitomiで統一していた彼も、この日ばかりはKanoma名義となっていましたね。
もはや"俺がAREA"とのことで、成人おめでとうございます。
規則的な不規則。
マニアックで難解なサウンドは、はじめて聴いて乗れるようなシロモノではないのだけれど、その中でカチっと決められたフォーメーションやフリによって、一体感が生まれているという不思議な感覚。
気が付いたら熱狂してしまっているのだ。
Towaさん加入後は通っていなかったし、前回の復活時も見ることが出来なかったので、おそらく15年ぶりぐらいとなるFatima。
それでも、何度も繰り返し聴いた楽曲たちを体は覚えているもので、「Blind」のフリとか、滾るものがありましたよね。
こんなところで、まさかの「哀愁の底辺」が聴けたのも嬉しかった。
官能的で自分勝手で狂気じみていて、だけど詩的。
何度も"高田馬場AREA!"と煽るので、広すぎる会場が本当にAREAなんじゃないかと錯覚しそうになる。
どんなに騒いだって、上にある西友からクレームが来ることはないのに、何気なく天井を見上げてしまった。
Zeppの会場一面に咲くライターの灯、圧巻だったな。
アンコールでの高速Stickyも含めて、最高のパフォーマンスを届けてくれました。
最後には、"正気に戻らなかったら、またいつか、会えるといいね"と。
Kanomaさんが正気に戻る日なんて想像できないですし、また会えるということでいいんですよね?
1. 少女とクローゼット
2. Blind
3. 哀愁の底辺
4. Humiliate me more, Darlin'
5. ドリー・マーズ
6. Public eyes
7. Candy Strippers
8. Noble King Snake
en1. Sticky Flower(高速Ver.)
各バンド持ち味を発揮して、濃密なイベントとなりました。
転換もスムースで、ストレスなし。
開始時間が早かったこともあって、終わり時間も遅くなりすぎず、とてもいい塩梅でしたね。
ホタルやFatimaはもとより、LIPHLICHをZeppで見ることができたのも、何気に感慨深いものがある。
高田馬場AREA、20周年おめでとうございました。