UNFORTUNE / Gilles de Rais | 安眠妨害水族館

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UNFORTUNE/Gilles de Rais

¥3,024
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1. UNFORTUNE <89'1st 4tr demo>
2. D.N.A. <89'1st 4tr demo>
3. CYBER PUNK <90' from "une de mes fories">
4. NEO PSYCHO <90' from "une de mes fories">
5. GLOOMY WEATHER <90' from "une de mes fories">
6. 13階段 <90' Live at antiknock>
7. if <91' Live at 7th AVENUE>
8. Dejavu <91' Live at ROCKETS>
9. PICTURE OF FUTURE <90' Live at antiknock>
10. 199x DECADENCE <91' Live at ROCKETS>
11. SANDY <91' Live at ROCKETS>
12. SO BALLET <91' Live at BananaHall>
13. SUICIDE <91' 殺意demo>
14. MOONLIGHT LOVERS <91' 殺意demo>
15. FOLLOW ME <91' 殺意demo>

Gilles de Raisの隠れた名曲たちが、2017年に蘇る。
1995年に解散した彼らのレアトラックを詰め込んだフルアルバムです。

2017年2月にGilles de Rais projectとして、Vo.JOEさん、Gt.JACKさんがライブに出演。
その際に会場限定でリリースされた作品ですが、問い合わせが殺到したため、通販での取扱を開始。
その後、めでたく一般流通となりました。

内容としては、結成当初に録音されていた幻のデモ音源をはじめ、初期のデモテープの楽曲や、音源で発表されないまま埋もれていたナンバーのライブ音源、名盤「殺意」レコーディング時のデモトラックなど。
当時のファンならともかく、後追いで知ったリスナーにとっても、たまらないラインナップとなっていますね。

初期に制作された楽曲が中心となっていることもあり、「殺意」の時期の速くて激しいイメージは、本作でも感じられる。
そのうえで、ドロドロしたミドルチューンやアングラテイストが強いマニアックなナンバーも収録されていて、想像していたよりもバランスが良いな、というのが率直な感想。
正直なところ、資料集的な位置づけの作品になるかと思っていた。
それはそれで価値があるのだけれど、そりゃ、たとえ背景を知らずに聴いたとしても格好良いほうが嬉しいに決まっています。
80年代後半~90年代前半の空気感が好きな人であれば、ビビっとくるのではなかろうか。

なお、再録などはされておらず、あくまで当時の編成、当時の演奏。
今から30年近く前の音源も含まれるわけで、当然ながら現代的なクオリティを期待してはいけません。
ただし、"問題なく聴ける"という事実だけで凄いことなのですよ。
正式音源として残っていたわけではないデモトラックを、そのレベルにまで引き上げた制作側の努力には、ただただ感謝。
特にライブ音源は、相当に苦労されたことでしょう。

加工しようにも限界がある当時のデモ音源だからこそ、演奏力の高さを実感できる。
狂気じみた表現における再現性も完璧で、これ、本当にライブ音源かよ、と疑ってしまうこともしばしば。
ファンアイテムな側面があるのは事実だが、だからといって無視できない作品。
これを機に、V系的オールディーズに触れてみるのも良いかもしれません。

<過去のGilles de Raisに関するレビュー>
殺意