Winter Romantic / LAREINE | 安眠妨害水族館

安眠妨害水族館

オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

Winter Romantic/LAREINE

¥2,700
Amazon.co.jp

1. 極東の恋人
2. Refrain
3. 天使に恋した少女の夢
4. Romantic Season
5. Last Song For You

LAREINEの冬をコンセプトにしたミニアルバム。
2006年の作品です。

内容は、実質的なセルフカヴァー作品と言えるでしょうか。
「極東の恋人」は、Ba.EMIRUさん、Dr.KAZUMIさんが在籍していたRIBBONから。
「Refrain」、「Romantic Season」は、Vo.KAMIJOさん、Gt.MAYUさんが在籍していたNEW SODMYから。
「天使に恋した少女の夢」は、ミニアルバム「ETUDE」の2nd Press盤に追加収録されていた楽曲の再録となっています。

まず、「極東の恋人」ですが、歌詞がKAMIJOさんによって書き換えられました。
歌メロも一部変更されており、より耽美に再構築された印象。
これだったらタイトルも変更すればよかったのに、と思わないでもないぐらい、LAREINE節に染まっていますよ。
この曲については、オリジナルのインパクトが大きすぎたために、客観的に比較することが難しいのだけれど、サビのメロディはそのまま残してくれていたのが良かったな。

「Refrain」は、ここで再録されたのが意外でしたね。
そこまで代表曲といったイメージはなかったし、言ってしまえば埋もれていたナンバー。
しかしながら、これが隠れた名曲だったのである。
LAREINEの影を脱却し、"モード系"を自称していたNEW SODMYの独自路線として、活路を見出しかけたのが、この曲。
それをLAREINEが逆輸入してしまったのだから、嬉しいことこの上なし。
ほどよく新鮮な風を取り込むことができたのでは。

続く「天使に恋した少女の夢」は、歌詞やメロディが追加されています。
テンポはそこまで速くないが、切なさを爆発させ、本作の肝である"冬"っぽさをドラマティックに演出しています。
切なさはそのままに雪崩れ込む「Romantic Season」は、疾走感を加えて、感情をピークに持ってくる。
キラキラしたシンセのサウンドが、クリスマスのイルミネーションのように美しく輝いているのもポイント。
ある種、「Refrain」とは対照的に、KAMIJOさんの"変わらない部分"を示していました。

本作における唯一の新曲は「Last Song For You」。
後に「LAST SONG」としてシングルカットされるため、このミニアルバムでないと聴くことができない、という楽曲はなくなってしまいますが、それだけ密度が濃いものであるという証拠。
ラストシングルに選ばれるだけある壮大なバラードで、しっとりと物語の幕を閉じます。

この「Winter Romantic」と「ETUDE」は、LAREINEにおけるクリスマスシーズンに聴きたい作品の二大巨頭。
もともと冬をテーマにした楽曲に定評があっただけに、クオリティが高く、どれを聴いてもハズレがありません。
残念なのは、復活後の彼らの作品は流通量が限定的で、Versailles結成以降の安定した人気も相まって、手に入れるのが容易ではないことでしょう。
楽曲単位では他の作品で補完できるとはいえ、本作のバージョンが最高、というアレンジも見られるので、出来ることなら多くのリスナーに耳にしてほしいものなのだけれど。

ちなみに、これだけ冬っぽさを押し出しているのに、リリースされたのは何故か3月。
制作が間に合わなかったのか、他に意図があったのか。
どちらにしても、知る人ぞ知る名盤であることには変わらない。
この時期にぴったりな1枚です。

<過去のLAREINEに関するレビュー>
Never Cage
ETUDE~Platinum White~
SCREAM
フィエルテの海と共に消ゆ~THE LAST OF ROMANCE~
Fleur