VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 備忘録 その3 | 安眠妨害水族館

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その3に突入したVJSの備忘録ですが、ようやく10月15日の締めくくりとなります。
備忘録というタイトルが示す通り、完全に自分のためのメモなのですが、ここまでくると引き返せない感もありますね。

"SUMMIT STAGE"がメインステージ、"VISUAL STAGE"、"JAPAN STAGE"がサブステージという位置づけとなる今回のフェス。。
午前中は、VISUAL STAGEとJAPAN STAGEで交互にバンドが登場するのが基本スタイルなのですが、夕方頃になってくるとSUMMIT STAGEが全面開放。
大半が武道館以上のクラスで、メンツを眺めるだけでもワクワクが止まりません。


シド

1. モノクロのキス
2. V.I.P
3. cosmetic
4. hug
5. 刺と猫
6. 嘘
7. 妄想日記
8. Dear Tokyo
9. 眩暈

ソロ活動も活発化しており、シドとしてのライブは実に10ヵ月ぶりとのこと。
持ち時間もかなり長めに割かれており、期待値の高さをうかがわせます。
Vo.マオさんの衣装は、往年のお洒落系的な雰囲気。

これだけ持ち時間があれば、戦略の選択肢も増えてくる。
メリハリをつけるためのラインナップとして、「刺と猫」が入ってきたのは嬉しかったな。
バラード枠はもっと懐かしめの楽曲を聴きたかったのが本音だけれど、メジャーデビュー曲「モノクロのキス」でスタートして、代表曲である「嘘」や「妄想日記」など、押さえるべき押さえた広いファン層のすべてに効果的なセットリストだったのかと。
久しぶりのライブということを感じさせないコンビネーションは、さすが10年選手。
難易度の高いジャズ調の楽曲でさえ、さらりと簡単そうにやってのけるスマートさが格好良かったです。

このフェス、映画館でのライブビューイングがあったのだけれど、ライブ中にそれに触れたバンドは少なかったのでは。
カメラ目線で、映画館で見ているファンに向けてメッセージを送る配慮も、キャリアの長い現代バンドだからこそ、といったところか。
映画館で見ていたら盛り上がった場面だろうなぁ。


HYDE×YOSHIKI

1. MY HEART DRAWS A DREAM
2. Say Anything

白いジャケットのYOSHIKIさんと、黒い衣装に女優帽をかぶったHYDEさん。
ヴィジュアル系として100点満点の装いで、カリスマはやはり凄まじい破壊力を持っているのだな、と実感しました。
出てくるだけで伝説を目撃しているという高揚感が沸いてくるのだもの。

披露されたのは、L'Arc~en~Cielの定番曲、「MY HEART DRAWS A DREAM」。
YOSHIKIさんのピアノに乗せて、HYDEさんの声が高らかと響き渡る。
アコースティックな編成だからこそ、そのボーカルの存在感が際立ちます。
特に美しくも力強いファルセットは、目を見張るものがありました。
お約束のシンガロングもあり、これ1曲で元をとった!という気になってしまうくらい。

そして、続いて演奏されたのはX JAPANの「Say Anything」。
これまた奇跡のコラボレーション。
透明感のあるハイトーンボイスも、なかなかハマるものである。
歌声に表情があるというか、同じフレーズを繰り返すパートでも、感情の移り変わりを感じ取れるのだから面白いですよね。

そのほか、写真をとったり、ミーティング時のエピソードトークがあったり。
演奏は2曲だけでしたが、それなりにエンターテインメントを意識した構成になっていたとも言えるでしょう。
全体的にはゆるい雰囲気なのだけど、いざピアノを弾き出せばピリっと引き締まる。
これ、何かの勢いで音源化してくれたりしないかな。
もっとも、その前にX JAPANのアルバム作ってもらわないといけないのだけれど。


R指定

1. 玉砕メランコリィ
2. 國立少年-ナショナルキッド-
3. 病ンデル彼女
4. 波瀾万丈、椿唄
5. THE廃人間

HYDE×YOSHIKIの余韻が冷めやらぬ中、GLAYを控えるという胃が痛くなりそうな出順を任されたのはR指定。
しかしながら、ここで結果を出せればチャンスでもある。
ファン層が前後のアーティストと直接的に被らないことも奏功して、その存在感を幅広い世代にアピールできたと言えるでしょう。

とにかく、セットリストが凄い。
レトロック直系の「玉砕メランコリィ」から、大盛り上がりで締めくくる「THE廃人間」まで、全曲が代表曲レベルじゃないですか。
「病ンデル彼女」にしても、「波瀾万丈、椿唄」にしても、"せっかくR指定を見るのだったらこれが聴きたい!"を実現してくれて、ライトリスナーをがっつり取り込もうという意図を感じるフェスセトリ。
初見だったとしても、十分に楽しめるライブだったのではないかと。

Vo.マモさんがギタボもやるというのにも驚いた。
パフォーマンスの引き出しも多いのですね。
休憩時間になるどころか、盛り上がりを持続させて見事にバトンを繋げていましたよ。
曲数が多いライブも見てみたくなります。


GLAY

1. デストピア
2. Scoop
3. Freeze My Love
4. 超音速デスティニー
5. Joker(X カヴァー)
6. HOWEVER
7. 生きてく強さ
8. 彼女の"Modern…"
9. ACID HEAD
10. 誘惑

もはや、エクスタシー勢の良心となりつつあるGLAY。
X JAPANやLUNA SEAと並ぶと後輩気質を覗かせるが、やはり経験値は豊富でヒット曲のカードも多い。
こういう場での立ち振る舞いは完璧でした。

最新シングルである「デストピア」や「超音速デスティニー」に織り交ぜて、V系的なフレーズを色濃く残す初期のナンバー「Freeze My Love」を披露するなど、どういった演出が喜ばれるかを熟知しているといったところ。
hideさんとのエピソードを語りつつ、Xの「Joker」をカヴァー。
更に、ブレイク期を支えたキーボーディスト、D.I.E.さんをゲストに迎えて「HOWEVER」を熱唱し、もう涙腺が崩壊するかと思いましたよ。
D.I.E.さんがいるGLAYを2016年に見ることができるというだけでも感動的なのに、その美しいキーボードの旋律からスタートする国民的ヒットナンバー。
これは本当にヤバかった。

D.I.E.さんは、「生きてく強さ」までの約束だったようなのだけれど、TERUさんが退場の振りを忘れてしまい、続く「彼女の"Modern…"」にも参加することになるという嬉しいハプニング。
本人もまんざらではなさそうで、20年近いインターバルがあってもオーディエンスを魅了するアンサンブルを再現できるあたりは、さすがプロだよなぁ。
ラストの「誘惑」まで目を離せない、この日のベストアクトと言っても過言ではないライブを見せつけてくれました。


LM.C

1. DOUBLE DRAGON
2. OH MY JULIET.
3. MOGURA
4. Chameleon Dance
5. DREAMscape
6. PUNKY♥HEART

サブステージのトリという大役を務めたのは、翌日が10周年ライブという節目を控えたLM.C。
90年代的な空気に染まりそうになった会場を、現代に引き戻すパワーがありました。
若者世代、中堅世代を、フェスの終盤まで残すことに貢献していたのではないかと。

ダンサブルでパンキッシュ。
すっかり夜になっていたことも演出の一環と思えるくらい、ダンスビートにレーザー光線が映えていましたね。
初期の楽曲もやってくれたり、なかなかのおいしいとこどりセットリスト。

正直なところ、音楽性としては、X JAPANの待機層には刺さりにくいのかもしれない。
しかしながら、それでもオーディエンスのハートを掴んだのは、何気ないMC。
X JAPANのライブのために田舎から出てきた中学生時代のmayaさんが、図々しくも話しかけたファンのお姉さんに優しくしてもらったというエピソードだったのですが、その後の"あのときのお姉さん、今日は来ていないかな。"という呟きに、会場全体が"あのときのお姉さん"になった感覚があったのですよ。
うまく言えないけれど、あのMCがLM.Cの印象を大きく底上げしたはず。
そんなきっかけを作り出せる場としても、フェスってやっぱり面白い。


X JAPAN

1. Jade
2. Rusty Nail
3. Forever Love
4. 紅
5. LA VENUS
6. Born To Be Free
7. X
8. ENDLESS RAIN
9. ART OF LIFE

実質的な主催者ということで、演出の豪華さも、持ち時間も、ボリューム満点。
タイムテーブル上の持ち時間が転換含めて50分なのに対して、SEを除いても全9曲という。
MCも長めにとるので、アンコール的な演出となった「ENDLESS RAIN」の時点で大幅に時間を超過していたのだけれど、最後の最後に超大作である「ART OF LIFE」を持ってくるから、さすがにずっこけました。
いや、はじめから持ち時間守る気ないだろ、と。

と言いつつ、なんだかんだライブは楽しい。
「Jade」、「Rusty Nail」で勢いよくスタートすると、ピアノとボーカルを中心とした「Forever Love」といった名バラードも演奏。
YOSHIKIさん、ToshIさんの幼馴染コンビによる、やたらアットホームなMCにしても、お約束の"We are X!"の連呼にしても、ひとつひとつが"あのX JAPANのライブに来てしまった!"という高揚感になってしまうのだ。
ダメ押しに、ドキュメント映画のために書き下ろした新曲、「LA VENUS」まで部分的に披露。
あとは、ちゃんとアルバムさえ作ってくれればパーフェクトですよ。

それにしても、ToshIさんの歌声は凄まじいですね。
初日でも熱唱しているはずなのに、疲れを見せるどころか、コンディションが整ってきたとすら思えるほど。
突然の万歳三唱には唖然としてしまったが、怒涛のXジャンプにはきちんと参加できました。


2日目を振り返って、とにかく楽しかった。
直前までタイムテーブルも出ないわ、フロアマップも適当だわでグダグダになることを想定していたけれど、出演バンドも会場設営のスタッフも、しっかり仕上げているじゃない。
細かいところには目を瞑るとして、正直なところ、予想以上にドキドキワクワクしっぱなしでした。
これなら何も文句は言いますまい。

…と締めるつもりだったのだけれど、そりゃ無敵バンドは見たかったですよ。
終電のことを考えると、「ART OF LIFE」の途中で帰らざるを得なかった。
きっと、同じような境遇のファンは大勢いたことでしょう。

ほとんどのバンドがオンタイムだった中、押したのは、hide with Spread Beaver、HYDE×YOSHIKI、X JAPAN。
すべてに出演したのが、約1名。
まぁ、そういうことですよね。
それはそれで、"らしい"のだけれど、悔しさが残ったのも事実。
次回があれば、近隣にホテルとるしかないのかな…