地獄絵図 / Mercuro | 安眠妨害水族館

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地獄絵図/Mercuro


1. 地獄絵図
2. 地獄絵図- Instrumental -

1998年に結成され、2001年に解散したMercuro。
15年の時を経て、まさか2016年に新作が聴けるとは。

本作のレコーディングは、Vo.レア、Gt.博士、Ba.SHINYAという編成で行われています。
活動時のメンバーは博士さんのみと、少し寂しい状況ではありますが、その後アナウンスされたフルメンバーにはGt.幸郎さんもクレジット。
蘇生第一弾の楽曲として選ばれたのが、幸郎さんが作曲を手掛けた「地獄絵図」のリテイクというのも、彼もメンバーであるということのアピールなのかもしれません。
まさか、地獄絵のボーカリストであるレアさんが加入したからこれにした、なんて安易な理由でないでしょう。

内容としては、ひたすらダークに沈み込むミディアムナンバー。
歌詞や旋律は、オリジナルをリスペクトしつつもレアさんによって書き直されました。
アレンジも全面的に変更されており、もはや新曲に近い出来上がりになっているのかと。

暗黒系の禍々しいサウンドであるのは変わらないのですが、神秘性が増した印象。
輪郭がはっきりした分、得体のしれない不気味さは薄れたのですが、ボーカルチェンジにより歌の安定感が増したことを踏まえれば、現体制でのアップデートとして、これがベストなのだろう。
地獄絵も、ホラーテイストを帯びたダークバンド。
そういう意味では近いところにあるバンドにも見えるのですが、レアさんが歌っても"地獄絵っぽい"という感想にならないのは面白いですね。

なお、8月に配信リリースされた黒鏡の教会の「Lobelia -綺麗な嘘と穢れた真実-」は、この「地獄絵図」を原曲としたもの。
同時期に異なるボーカリストが歌詞・旋律を振り直して、オリジナルとは別の解釈を発表する、という試みは斬新でしたよ。
黒鏡の教会のKeiさんが、ダークの中にもメリハリをつけてサビのフックに力を入れたのに対し、こちらは逆に抑揚をなくして、ドロドロとした気持ち悪さを演出。
オリジナルバージョンも含めて、聴き比べてみるとより楽しめる楽曲となっています。

通信販売限定で、初回プレスは残少との報。
2ndプレスは検討中とのことですが、気になるのであればお早めに。
蘇生第二弾として、ミニアルバム「血祭」のリリースも発表されたMercuro。
引き続きレアさんがボーカルを担当するようで、今度はどんな新解釈が飛び出すのか、期待が膨らみますな。