輝夜-kaguya- / 篠突く雨 | 安眠妨害水族館

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輝夜-kaguya-(初回限定盤)/篠突く雨

¥1,944
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1. 輝夜-kaguya-
2. 月光の檻

"花魁"をコンセプトに活動している篠突く雨の1stシングル。
初回限定盤も通常盤も収録曲は変わらず、初回限定盤に「輝夜-kaguya-」のMVを収録したDVDが付属される仕様となっています。

聴けば聴くほど、新しいタイプの"和"をモチーフにしたバンドだな、と。
メロディや構成は、現代V系シーンの王道とも言えるハード路線。
しかしながら、アレンジには和楽器の音色をこれでもかというほど詰め込み、優美に風雅に仕上げていこうとするアプローチ。
どうしてもメロディから"和"を求めていきたくなりがちなところ、あえてギャップを作るというスタイルは、オリジナリティを感じさせます。

「輝夜-kaguya-」は、その1発目として送り出すキラーチューン。
ストレートに生音だけでがっつり攻めても気持ちよさそうな楽曲なのだが、和風にコーティングすることで、幻想的なイメージが強まった気がします。
目の前にある世界ではなく、ベールの向こうにある世界のようだとでも言いますか、これによりひとつ高いところに昇華しているのかと。
ライブ感が薄まるというリスクもあるのでしょうが、この段階で神秘性やカリスマ性を感じさせることができる演出にもなっており、掴みには成功していますね。

カップリングの「月光の檻」では、和楽器を妖しさ、艶めかしさの表現として用いています。
ミディアムテンポのダークナンバー。
こちらも、正統派のロックアレンジであれば清涼感すら出そうなところ、妖怪でも出てきそうな不気味な印象に変貌させてしまっているのだから、編曲の妙を感じずにはいられない。
サビではキャッチーさも覗かせ、とっつきやすく開けていくのも、この楽曲の旨味を出すのに効いていますよ。

王道と王道の組み合わせ。
難解なことや斬新なことをやっているわけではないのに、鮮烈なインパクトを残す逆転の発想。
その意味では邪道かつニッチであり、本当に彼らの音楽性にハマりそうな層の耳に届くまで時間がかかる可能性もありますが、それは一気に化けるポテンシャルとも言い換えられるわけで、話題を先取りしておきたい人は押さえておいてもいいのでは。

ある種、和楽器さえ使っていれば何でもアリ、とも言える音楽性。
他にはどんな引き出しを持っているのでしょうか。
きっかけ作りも兼ねて、フルレンスとまではいかなくても、ミニアルバムくらいのボリュームで聴いてみたいですな。

<過去の篠突く雨に関するレビュー>
追憶の雨