遥かなる時をこえて / TOSHI with T-EARTH | 安眠妨害水族館

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遥かなる時をこえて(DVD付)/TOSHI with T-EARTH

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1. Prelude
2. なげきのHEART
3. 悲しみの果て
4. 世界の果てに
5. 抱きしめて
6. 暗くなってる場合じゃない
7. Greatest World
8. 未来の君へ
9. 海になりたい
10. 大切なもの
11. Postlude

TOSHI with T-EARTHの2ndフルアルバム。
1stアルバムからわずか三ヵ月というインターバルで2008年にリリースされました。

"エコ・ロック"を掲げてX JAPANのTOSHIさんが中心となり結成。
当初は、ex-しゃるろっとのメンバーやex-PhantasmagoriaのJUNさん、LUNA SEAの真矢さんなど、ヴィジュアルシーンの中堅~ベテランバンドマンを揃えた布陣だったのですが、いつのまにか流動的になっていた様子。
それらの面々は、本作の制作には参加しておりません。

このプロジェクトは、洗脳騒動でも話題になったMASAYA氏が作品をプロデュース。
大半の作詞・作曲も手掛けています。
その点では、TOSHIさんのソロプロジェクトというよりも、MASAYA氏がTOSHIさんを広告塔に使ったパフォーマンスといったほうがしっくりくる気もしますな。
TOSHIさんが、MASAYA氏と決別を宣言して解散に至ったいきさつを踏まえても、素直に聴けない1枚であると言えるでしょう。

そんなあれこれを抜きにしても、歌詞がダサすぎるのがなぁ。
道徳の教科書的なエコへの訴えと、ヴィジュアル・ロックの相性の悪さたるや。
メッセージが上滑りして、なんとも言えない寒さに。
エコが大事というテーマを否定するつもりはないけれど、こちらの世界に持ち込まれても厳しいものがありますね。

音楽性についても、面白味がないというか。
ワンフレーズだけを切り貼りしてダイジェストトラックでも作ればそれなりの仕上がりにはなっていそうなのだけれど、どの楽曲も構成が一辺倒で、通して聴くとグダグダになっているのが否めない。
アルバム単位になると一層際立ち、せっかくメロディが良かったとしても、全部聴ききるだけで疲れてしまいます。
長すぎるくらいの楽曲でもドラマティックに成立させてしまうX JAPANが比較対象となるだけに、これは致命的でした。

ハードロックやエネルギッシュなシャウトを売りにしながら、ほとんどが歌謡曲チックな内容に収まっているのもどうかと思うのだが、歌っているのがTOSHIさんなので、ロックもポップスもバラードも、それなりに聴くことができるのが救い。
結局、リリースペースを意識しすぎて、ネタ切れに陥ったということなのだろうか。
本当にTOSHIの無駄遣いだな、と。

先のある若手バンドであれば、意地でも良いところ、磨けば伸びる部分を見つけたいところですが、色々なゴタゴタを見せつけられた結果も含めてこんなと感想しか出てきません。
クオリティだけが高くても響いてこないものなのだな、ということを認識させられた1枚。