癒し小屋@仙台CLUB JUNK BOX(2016.7.2) | 安眠妨害水族館

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オバンギャと初心者に優しいヴィジュアル系雑食レビューブログ

11月1日の公演をもって改めての解散が発表されているRaphaelにとって、最後の全国ツアーとなる"Raphael Live Tour 2016「癒し小屋」"。
折り返しとなる仙台公演の初日に行ってきました。

現役時代はライブに行くための制約が大きく行けず、活動再開後も東京公演は平日だったりとやはり行けず、自分にとっては最初で最後のRaphaelのライブ。
本音としては、このタイミングで遠征というのも厳しかったのですが、ここで一度も見ずに終わってしまっては後悔しか残らないと思い、無理を承知で駆けつけたわけです。

アツくならないわけがない、とは想像していたものの、開場時間が30分押して、蒸し風呂状態の階段での待機。
まさか、開始前から暑さでクタクタになるとは…
という状態からのスタートだったのですが、はじまってしまえば関係ないもので。
白い衣装で登場したメンバーが演奏したのは、『「・・・」~或る季節の鎮魂歌(レクイエム)~』。
華月さんのギターを弾きながら、華月さんの想いも込めて歌い上げるYUKIさんのボーカルは、ガツガツ攻めるバンドサウンドと重なっても音源通り、いや、円熟味を増してそれ以上のパフォーマンスを発揮していました。
サポートギターとして、ベルの夢人さんが参加してはいますが、あくまで華月さんも含めた5人での演奏ということにこだわっていたようですね。
もちろんそれは、最初の4曲でYUKIさんが本人のギターを弾いたというだけではなく、「エルフの憂鬱」では残されたライブテイクから華月さんのギターソロを組み込んでいたし、メンバーコールの際は必ず華月さんの名前も呼ばせるように煽っていたし、演出の域を超えて、5人のステージを作り上げていたのではないかと。

セットリストの構成は、求められていることが明白で、これもライブが楽しかった理由だろうな。
序盤はYUKIさんがギターを弾いていたこともあり、わかりやすく煽ったりはしなかったものの、テンションの上がる楽曲を詰め込んで徐々にボルテージを高めていこうとするアプローチ。
ハードなナンバーである「さくら」から「人間不信」の流れでそれをすべて解放。
YUKIさん自ら頭を振りながら攻め立てます。
キラーチューン「症状3.XXX症」でクライマックス感を出して「エルフの憂鬱」でクロージングという流れも完璧で、短いながらもこれだけで満足できる充実っぷり。
ヘドバンをしてもジャンプをしても崩れないYUKIさんの歌声は前述の通りなのだけれど、HIROさんのドラムも安定していますな。
YUKITOさんのベースも音源で聴いていたよりも太くて格好良く、夢人さんは多少のミスはあったものの、ステージ上の男ファン代表として、サポートとは思えない馴染み方をしていました。
トーク回しも面白くて、演奏中のシリアスさとのギャップも魅力だったのだろうなぁ。

本編の後半は、アコースティックコーナー。
YUKIさんはピアノを弾きながら歌うスタイルで、この人は本当に多才だな、と感心してしまう。
正直、JUNK BOXのハコの形状的に、メンバーが座ると後方から見えにくいのですよね。
そこは惜しかったのだけれど、目を閉じて浸るのも心地良い。
「秋風の狂詩曲」のギターのフレーズが聴こえた段階で、鳥肌が立ちましたよ。
ラストは彼らのはじまりの曲、「eternal wish~届かぬ君へ~」。
少年時代にシーンに登場したからこそ現代にも残っている楽曲になったのだろうけれど、この純粋さこそRaphaelである。
YUKIさんと夢人さんがツインギターでハモって、より美しくアレンジしていたのが印象的でした。

アンコールでは、"この季節にぴったりな楽曲"という前フリから、「White Love Story」。
そこでは笑いが起こるのだけれど、ジャジーにリメイクされてお洒落に彩られたこの曲を聴いて、涙腺を刺激されたオーディエンスもいたのでは。
「タッチ」、「Evergreen」、「夢より素敵な」と、最後の最後はエンターテインメント性に優れたアッパーチューンを立て続けに。
「Evergreen」が聴けたのは、本当に嬉しかった。
セットリストに入ることはなんとなくわかっていたけど、それでも嬉しい。
タオルや横モッシュなど、最近風のフリもあって、何度も聴いていた楽曲に、実態が宿った感覚になりました。

現役当時のライブと比べることもできなければ、このツアーの別のライブと比べることもできない。
なので、とても主観的な感想でしかないのだけれど、間違いなく最高のライブだったし、記憶に残り続けるのだと思う。
そりゃ、2日目にやっていた楽曲も聴きたかったし、解散にだって立ち会いたい。
でも、彼らの音楽を夢中になって聴き続けていた仙台という土地で、彼らのライブに参加して自分の中でのRaphaelを締めくくることができるのは、きっとベストエフォートなのだろう。
青春をひとつ回収できた気分。
あとは、この余韻に浸りながら制作中のアルバムが届けられるのを楽しみにしていましょうか。


1. 「・・・」~或る季節の鎮魂歌(レクイエム)~
2. Sacrifice
3. Imitation White
4. promise
5. さくら
6. 花咲く命ある限り
7. 人間不信
8. 症状3.XXX症
9. エルフの憂鬱

~acousticコーナー~
10. 秋風の狂詩曲
11. 症状2.分裂症
12. lost graduation
13. eternal wish~届かぬ君へ~

en1. White Love Story
en2. タッチ
en3. Evergreen
en4. 夢より素敵な